27歳での遅すぎる上京…それでも踏ん張り続けられた理由とは? RISEL/総店長・浅野宏明さんの「ポジティ部」【前編】
<Training01>ピンチからポジティブ思考を鍛えよう
コーチが体験したピンチをもとに折れない心のつくり方、前向き思考をトレーニング!
27歳での遅すぎる上京、生活は一変した
美容師人生の中で、ピンチは2回あります。
一度目は、27歳の時。東京で美容師をやろうと上京してきたころのことです。僕は、それまでは神奈川の美容室でスタイリストをしていたんです。お客さまもついていたにもかかわらず、全てを置いて東京に出てきた時が最初のピンチでした。
なぜそんな決断をしたのかというと、当時、スタイリストとしての売上が100万に届くというときに、新店舗の店長をやらないかと打診されたんです。僕が働いていたお店は、その地域の一番店でしたが、「このままで店長をやっていいのだろうか…。一度は東京に行って美容師をしてみたい!」と思ったから。東京の美容師や美容室がどんな戦略で売り上げを伸ばしているのか話を見てみたいという気持ちでした。いくつかの店に見学や面接に行き、デビューして10か月で指名売り上げが300万円あるというスタイリストがいた店で働くことに決めました。どんな風に集客しているのかが気になったんですよ。それが、今は別グループになったMARISです。
神奈川のサロンではスタイリストでしたが、東京ではアシスタントとしてイチからのスタート。店の面接担当者からも「東京にくるのが遅すぎるよ」と言われていました。アシスタントですから、もちろん給料もそれまでよりグッと落ち込むにもかかわらず、前年の収入に対する税金は支払わなくてはいけないし、ある程度あった蓄えもすっからかんになりましたね。住まいも家賃の割にボロいアパート……電車賃すら節約したいという思いで、毎日自転車で通勤していました。生活水準を変えるのはすごく悔しかったですが、「もう後戻りできない」という状態でした。
なぜ、そんな状況の中でがんばれたかというと、同期の黒瀬将克の存在があったから。彼は僕の一つ年下だったのですが、埼玉でスタイリスト経験を経て上京してきたという同じような立場! 他の同期は地方出身だとしても専門学校は東京で、そのまま東京のサロンに就職というパターンがほとんど。店長や先輩も同様なので、東京流のやりかたみたいなのを叩き込まれるわけですよ…! 当然、僕たちは東京のやりかたなんて知らないから、「絶対に負けられない!」とお互いを支え合いながら深夜まで練習する日々を送っていました。彼は現在、MARISの店長を勤めています。
ほかに、東京のサロンで働いている友人がいなかったというのも大きかったと思います。同世代同士で集まると、どうしても自分の働いているサロンの愚痴が出たり、他のサロンのやりかたを比べたりしがち。こうしたネガティブな感情を表に出すような場面がなく、自分のやるべきことにだけ集中できたのがよかったですね。
デビュー後、売り上げが落ち込んだことも…浅野さんが自分の「売り」を見つけるまで
1年2か月でデビューを果たしたのですが、スタートダッシュは好調。でも、その後2度目のピンチを迎えることになるんです。
というのも、当時はアイドルやモデルさんの来客が多く、そのスタイルを目当てにサロンに予約を入れてくれる新規のお客さまがとてもたくさんいました。店では、デビューしたての僕に、そういった新規のお客さまを入れてくれるんですよ。だから、デビューして半年で売り上げは180万円を超えました。でも、お店はいつまでも僕ばかりに集客してくれるわけではありません。ほかのデビューしたスタイリストにも同じように新規客を入れ始めると、僕の売り上げはがくんと落ち込みました。
なんとかしなくてはと始めたのが、“ブログ”でした。当時はまだSNSの時代ではありませんでしたから、1日2~3回更新する分の記事を用意しておいて、お客さまである大学生や会社勤めの女性が携帯を見る通勤時間やお昼休みの時間に合わせて自動更新を設定しておくんです。そうしてコツコツ作品やスタイルを発信する中で、グラデーションカラーが大ヒット! それまでは、全頭ブリーチのミルクティーベージュのカラーがほとんどの中で、ちょっと外国人っぽくてかっこいいグラデーションカラーが僕の売りになり、それを目当てに来店してくれるお客さまが増えました。
今でも、地方の美容師さんから、「●歳で東京に出てくるのは遅いですか?」という質問をよく受けることがあります。僕はまったく遅くないと思うけど、やっぱり本人のやる気次第。根性とモチベーションがある人は、絶対に東京に出てきた方がいいとアドバイスするようにしています。
♦♦♦Training01のおさらい♦♦♦
愚痴や弱音からは何も生まれない。自分のやるべきことにのみ集中しよう!
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