直感型オーナーの決断。サロンと植物販売を拡大する経営者のブレない考えの源―高円寺/menos石井和昭さん
変わらない理念と指針が原動力になっている
たぶん植物販売の関係者の方の中には、僕のことを美容師って知らない人がいっぱいいます。美容室のお客さまには「最近植物のイベントやったんですよ」とか、「作家さんに今、新作のポットを頼んでいるんですよ」と話すから、お客さまからすると「本職は何をしている人なんだろう」と思われているかもしれません(笑)。
でも何て思われてもいいんです。僕は、いろんなことに興味を持ち、新しいことをはじめたくなるタイプ。あんまり「美容師だからこうしないと」と考えることに、こだわりすぎないようにしています。
あと、いろいろ決断することが性格的に合いません。だから変わらない理念と指針をつくり、何かあったらそこへ戻るようにしています。
理念は、「愛のある心で細部まで工夫し、丁寧にものごとを作る」。「ものごと」は「もの・こと・人」を指しています。指針は「creativity never stops(クリエイティビティネバーストップス)」。これは「作ることを続けていこう」という意味です。
理念と指針は僕が決めたことだから、すごく自分自身に効いている。一番大事にしていることであり、僕の原動力にもなっています。
ここからは、切り離したものをつなげていく
menosがスタートして13年。芽の巣を切り離してからは、美容室は美容室として、植物屋は植物屋として成り立たないといけないと考えてきました。そのため、ここ2年間は、一生懸命切り離しの作業をしていたんです。でも今後は、美容と植物を混同し、お互いメリットがあるような方法を考えています。
特に美容のケア商品を強化していきたい。そういう商品は、材料に植物が入っていることが多いですよね。おそらく、僕が選ぶと独自のチョイスになるし、提案の切り口が変わってくると思うんです。「この植物ってこういうところに生えていて、乾燥にものすごく強い植物で」とか。あと、陶芸家さんもいっぱい知り合いができたし、いい作家さんとお仕事をさせてもらっているので、食器もできると考えています。もうひとつ商材を作り、芽の巣山をもう少しライフスタイルショップに近づけていくのが次のステップですね。
僕は、実行から完成までの辺のスピード感も意識している部分もあり、割と何も決まっていない状態で、やっちゃうことも多いんです。実行しなければ、結果がダメかどうかわかりませんよね。僕の場合はむしろ、見切り発進しかできないかも(笑)。
- プロフィール
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オーナー/石井和昭(いしいかずあき)
1980年生まれ。長野県出身。20代前半で大手美容室チェーンをやめ、その後フリーの美容師として活動。26歳のとき高円寺に「menos」をオープン。現在は、1階にひとつ、2階にふたつの美容室を経営。美容室の運営のみならず、植物の販売やイベントのディレクションなど多岐な活動を行なっている。
(取材・文/QJナビ編集部 撮影/河合信幸)