関西の頼れるカメラマン・井関雅也さんが見た「作撮り美容師の伸びる瞬間」
若いときにしか得られない新鮮な感動を経験しないなんてもったいない
—ちなみに伸びあぐねている人に多い原因はどういうところにあると思いますか?
はじめに話したのと逆で油断しちゃっていて周囲に対して感覚を開いていない人は、何回撮ってもぜんぜん変わらなかったりしますね。あと器用じゃないタイプの人がサロンで責任ある役割を担っていると、やっぱりその時期は伸びあぐねる場合が多い。力が分散しちゃうので。でもそういう人はその役割から解き放たれた瞬間、伸びるんちゃうかなって思うので焦らなくてもいいように思います。
—若手の美容師さんと撮影をしていて思うことがあれば教えてください。
最近はけっこう口を出しちゃうんだけど、それで怒られたと思われたらまぁいいかなと。それでもやりたいって思う人だけついてきたらいいかなと思うようにしています。だって、もっとできるのに自分を上げないのはもったいないし、高みに行きたいと思う人とこっちも撮影したいですからね。
自分くらいの年齢になると、引き出しがたくさんあるのでいろんなことに対応できるじゃないですか。でも若い子はそうじゃなくて、毎回たくさん考えて工夫をしないといけない。それって新鮮な感動がたくさん転がっているということでしょう? それを体験しないなんてって思っちゃうんだよね。こうしたらいいんだっていうのを見つけたときや、自分の技術とイメージがシンクロして目指したものを表現できた瞬間って、めちゃくちゃうれしいじゃないですか。
—そういう感覚を経験してほしいと?
うん! 技術を超えた先というか、今までしてきた表現のその上に行けたときの喜びや、美容師さんの「できた!」っていう自信にあふれた顔は最高なんですよ。しかもそれを味わった次の撮影では、明らかに成長していて、さらに上をねらってくるからこちらとしてもおもしろいんです。
—今年、320スタイルを撮影して著しく成長を感じた方はいますか?
今年は今まで業界内で無名だった若手の美容師さんがたくさん出てくると思います。撮影する中で、まだ荒削りだけどおもしろいと思う子がたくさんいました。
あと個人的に次にくるんじゃないかと感じているのはrossoの松井()くん。表現に関する勉強もすごくしているし、そろそろ突き抜ける気がします。なんにせよこうやって新しい人や新しい表現もどんどん出てくるし、美容の撮影は飽きないですね。めっちゃおもしろいです!
- プロフィール
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フォトグラファー/井関雅也(いぜきまさや)
1962年生まれ。美容専門出版社専属フォトグラファーとして活躍後、1986年よりフリーランスに。ヘアデザイナーのコンテスト入賞作品やメーカー広告のコラボレーション作品など、手がけたヘアスタイル作品は多数。幅広いライティングと、作品に対する思いを的確にビジュアルで表現するテクニックがベテランから若手まで関西地域の多くの美容師から絶大な支持を得ている。