「オーナーを孤独にさせない!」—オーナーとわたし。女性美容師の右腕物語 LABOON 氏川りのさん
サロン内でのキャリアが上がったとき、女性美容師はどう働き、サロンの中でどのような存在を目指したらよいのでしょう? サロン内での立場の変化に直面している女性美容師に向けて、先輩女性美容師の働き方を届ける「オーナーとわたし」企画。第4回はコンテストやクリエイションの場で存在感を増しつつある『LABOON』の氏川りの(うじかわりの)さんの右腕物語をお届けします。
オーナー・大野紘一(おおのこういち)さんとともに、作品撮影のキャリアをスタート。この1年でも2016年度「JHA」中国・四国エリア賞や、「ジャパンカップ2017」のクリエイティブ部門最優秀賞など、コンテストで結果を出している氏川さん。美容師仲間と撮影会を組み、オーナー・大野さんとともにサロンのある高知から、東京や大阪に通うこともたびたび。2人の関係は同志であり、ライバル。立場の差や年齢差を感じさせない、そんなオーナーと右腕美容師との関係性の築き方をうかがいます。
びっくりするくらいほめてくれたアシスタント時代
わたしが『LABOON』に入社したのは、サロンがオープンして1年目の頃。それまで地元、四万十市のサロンで働いていたのですが結婚して高知市内に出ることになり、信頼しているディーラーさんが紹介してくださいました。
オーナーはその頃からおもしろい人でしたね。
当時、私はまだカットも習っていないアシスタント。前のお店では毎日、毎日、叱られる日々でした。それなのにオーナーは毎日ほめてくれたんです。家に帰って、「どうしよう、今日もほめられちゃった」って言っていたくらいでした。
アシスタントの期間も、スタイリストになってからも、毎日ほめて、目標をどんどん与えてくれて。楽しいし、どんどん成長していきたい! って、美容に対して前のめりになったのは、オーナーのおかげだと思っています。
作品をつくる度に喧嘩をして…
今のように何でも言い合える関係になったのは、2人でコンテストに出るようになってからだと思います。
きっかけはあるコンテストを見に行ったときに審査員でこられていた大川たみこさんと、鳥羽直泰さんに、「ブックは持ってないの? クリエイションしていないの?」と聞かれたことでした。それで私たちもやってみようかって。それまでサロンスタイルの撮影はたくさんしていたのですけれど、私はもちろんのこと、オーナーもクリエイションはしたことがなかったんです。
オーナーがヘア、私がメイクを担当するんですけれど、まぁたくさん喧嘩をしました。オーナーはあまり指示を出さないタイプなので、私が無理やり聞き出すのですが、答えたら答えたで私のほうがそれは違うと思うと別の意見を言ったりして喧嘩に…(笑)。
でもつくること自体がすごく楽しいので、やり始めたらいつの間にか仲直りをしていてわだかまりも残っていないんです。
クリエイションに関してはスタートが一緒。技術は別として、どちらがうまいというのがないのがよかったのかもしれません。一緒にセミナーに行って、一緒に考えてとしているうちに、年の差やキャリアも感じないし、遠慮もしない関係になっていけたように思います。
だってオーナー、私がコンテストで賞を獲ったりすると口も聞いてくれないし、目も合わせてくれないんですよ。でもそういう悔しい気持ちも正直に言ってくれるので…なんでしょう、なんか、そういうのがいいなって思っています。