女性美容師がつくった予約の取れない“ひとりサロン”。お客さまが絶えない成功の秘訣とは?
埼玉県越谷市、最寄りの駅から車やバスで15分程度かかる住宅地の中に、噂のひとりサロンはありました。砂川千明(すなかわちあき)さんがひとりで切り盛りする、プライベートサロン『髪工房 千家』。実はここ、オープン以来「お客さまに困ったことがない」と話すほどの人気店。20周年を迎えた今も予約表は真っ黒、新規予約は2ヵ月待ちだそうです。いわゆるひとりサロンの「ゆったり自分のペースで」というイメージを覆す砂川さんの仕事の流儀から、ひとりサロンを繁盛させ続ける秘訣をお話いただきました。
独立したてで予約がいっぱい! その理由とは?
『髪工房 千家』のスタートは「予約が入りすぎて困っちゃった!」という感じでした。
もともと大型サロンに勤めていた私が独立し、マンツーマンサロンをはじめた理由はいくつかあります。もっとも大きい理由としてはひとりのお客さまをシャンプーからブローまで、すべて自分で担当したかったということ。今も昔も職人気質で、人には任せられない性分なんですよね。それと私は子どもがひとりいるのですが、離婚をしてシングルマザーだったんです。好きな美容の仕事を続けながらも、子どもには心細い思いをさせたくなかった。学校行事には全部行ってあげたいと思っていました。それで自分でお店をやれば、時間のコントロールもしやすくなると考えたんです。
うちのサロンはみなさんに驚かれるほど最寄りの駅から離れた住宅地にあります。オープン時は立地については、やっぱり悩みましたよ。でも子どものことを考えると、やっぱり家で仕事をしたくて……。賭けではありましたが変な自信もあり、今の場所ではじめてみることにしたんです。
気に入ってさえもらえれば、自然とお客さまは増えていく
オープンしてから今日まで、宣伝費を使ったのはオープン時の1回だけです。子どもが通う小学校のお母さま方に挨拶状を配り、町内にポスティングをしてまわりました。それしかしなかったのに、蓋を開けてみるとオープンと同時にすぐに予約が入りすぎて、お断りしないといけないような状況に。ありがたいことでした。
どうしてそんな状況を生めたかというと、私、子どもが小学校に入ってから中学校を卒業するまで、ずっとPTAの役員をやっていたんです。集客をねらったわけではなかったのですが、それが功を奏したというのはあったと思います。学校中の子どものお母さんが私のことを知っているのですから、サロンの認知度も自然と高まるし、いい意味で噂にもなりますよね。
順調な滑り出しのあとは、ほぼ口コミが集客のすべてでした。気に入っていただけさえすればご家族やご友人を紹介してくださるし、ご紹介でこられた方がまた他の方を紹介してくださる。そういったサイクルでお客さまが増え、今年とうとう20周年を迎えることができました。