クリエイティブサロンnenenで磨いた感性で躍進する、注目の若手スタイリスト 下岡悠太さん #Z世代のスター発掘
SNSもクリエイティブも、手を付けたのは東京に来てからだった
SNSではデザインカラーをメインに投稿していますが、クリエイティブに力を入れ始めたのも、SNSで投稿し始めたのも、上京してからなんです。なので、撮影の面でもSNSのブランディングの面でも、学び始めてまだ3年くらいの僕に語れるようなことは正直あまりないと思っています。
ただ、投稿するときに意識していることはいくつかありますよ。例えば、僕はゼロイチでなにかを作るのは苦手な反面、あるものを細かく分析したり、模写するのはすごく得意なんです。なので、好きな雑誌を読み込んで「なんでこの写真は可愛いんだろう」「後れ毛がこの動きってことは、こう巻いてるんだろうな」と分析して得たインスピレーションをもとに、思わずタップしたくなるような画角を意識して撮影しています。僕のインスタに載っているのはほとんどがお客さまですが、カウンセリングの時点で「この人はどっちから撮るとより可愛く見えるかな」と写真を撮る時の完成形まで決めてヘアを作ることもこだわりですね。
実は、作品撮りに関してきちんと学んだ経験はありません。最初こそ、イッシキから髪の毛の動かし方などは教えてもらいましたが、撮影に関しては好きなテイストも少し違うので独学でやってきました。画角の決め方は、中学生のころから映画を見漁ってきた経験が役立っていると思います。この画角は見ていて気持ちいいか、気持ち良くないかの基準が、自然と自分に備わっているというか。そこも、先ほどお話した真似が得意な部分が活きているのかもしれません。
それで言うとSNSも同じ流れで、トレンドのスタイルを意識的にチェックしていくうちに、トレンドと自分の好みが上手く交わるところが見つかったんですよね。なので、バズることを目的にスタイルを流行りに寄せたわけではなくて、かみ砕いて落とし込んだものがちょうど時代のニーズにハマって、見てくださる人が増えたのかなと思っています。
得意を見つける近道は、不得意を探せばいいだけ
クリエイティブをやっていると感覚派だと思われがちですが、僕は真逆のタイプです。オリジナリティや感性は他の人に劣る部分が多いですし、センスを活かして、器用になんとなく作ることは出来ません。ただ、その分、考えれば納得のいくものが作れること、分析して真似が出来るのが自分の強みだと捉えています。自分が不器用だからこそ、後輩の指導をする中で上手く出来ない子の気持ちも理解できるんですよ。共感して同じ目線に立てるので、上手く伝えられる場面も多いように感じます。
そういう自分の強みに気付けたのは、まず自分が出来ないことを見つけたからだと思いますね。後輩から「好きなものがわからない」と相談されることもありますが、そういう時はまず嫌いなものがなにか考えることを勧めています。ただ、行動してみることは必要で、とりあえず手を動かして作っているうちに、自ずと好き嫌いや、得意不得意が見つかると思いますよ。
僕自身は、美容師をやる上でずっとワクワクしていたいという気持ちがあります。イッシキが作ってくれた今の環境にはすごく満足していますし、独立は考えていないので、今の場所で出来る新しいことを始めたいですね。
台湾の美容師で、ジョー(@joe_xhang)っていう仲のいい子がいるんですけど、彼の美容へのバイタリティってすごいんですよ。台湾のDAグランプリを獲っていて技術も十分上手いのに、ヘアキャンプの動画を全て翻訳して見たり、年に何度も日本に来て技術を学んだりしていて…。僕はその熱意を本当に尊敬していて、いずれ彼と一緒に面白いことが出来たらいいなと思いますし、こっちを拠点に、日本だけにとどまらずアジア圏で活動していくのが直近の目標です。
- プロフィール
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nenen /スタイリスト
下岡悠太
広島県出身。15歳から大阪に拠点を移し、通信制の高校と並行して美容専門学校に通い、18歳で美容師免許を取得。卒業後、約5年間の美容師生活を送る。その後、イッシキケンタさんの人柄、スタイルに惹かれてLa familia に入社。イッシキさんが立ち上げたnenenにはオープニングメンバーとして参画し、デザインカラーを武器に活躍している。クリエイティブコンテストのファイナリストにもノミネートする、注目のルーキー。
Instagram:@shimo_yuta
(文/リクエストQJ編集部 撮影/菊池麻美)
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