アレンジのトレンドは3カ月で変化する。ハレの日アレンジで売り上げ約3倍を実現したMOTAIさんの強み戦略
「僕にしかできないおもてなし」という“強み”を作るために独立した
アレンジが好きだと話すと、「セットサロンに行けばよかったのに」と言われることもあります。確かにセットサロンへ行けば、たくさんアレンジに携われるかもしれません。でも、それは僕が目指すものとは少し違ったんです。
僕は24時間していたいくらいアレンジが好きですが、カットもカラーも好き。また、日常のアレンジよりも、特別な日を演出するためのアレンジが好きです。そのためには一人ひとりのお客さまとより深く関わって彼女たちの希望を引き出し、叶えたかった。その「僕にしかできないおもてなし」という“強み”を作るために、独立してプライベートサロン のsaiをオープンしたとも言えます。
Willeではサロンビジュアルを作ったり、立ち上げからサロンを軌道に乗せるまで相談に乗ったりしてきました。それが当時の僕の役割でしたが、一方で、自分が考えているサロン像とは少し違うと感じることもありました。やりがいは感じつつも「もし僕が明日死ぬとしたら、今やっていることは一番やりたいことではない」という思いが常に頭にあったんです。
僕が理想とするのは、アーティストのライブに行くのと同じように、その美容師に会いたいとお客さまから言われるようなサロン作り。もちろんこれまでも、お客さまをしっかりおもてなししてきましたが、サロンの考え方や方向性ありきになるので、そのとき自分が思った通りのおもてなしができないと感じることがあったんです。
自分だったらこういうお迎え、究極のおもてなしをしたいという理想を叶えるには独立するしかないと思い、Willeでの役目が終わった時点で独立に踏み切りました。
全力で「これが大好き」と思える技術を持つことが重要
ヘアアレンジでご予約いただくことや、メディアに取り上げられることも増えてきましたが、僕としてはまだまだアレンジは修行中の身だと思っています。でも、自信を持って「アレンジが好き」だと言えます。
今の美容業界では、美容師として何かしらの強みを持つことは重要だと思います。美容師の数が多い中で、お客さまは何の強みも特徴もない人を選びようがないですよね。
でも、強みは簡単に作ろうと思って作れるものでもありません。だから、早いうちから焦る必要もないと思っています。
僕自身アレンジの楽しさを知ったのは、Willeでビジュアルを担当したのがきっかけでした。僕のように後から興味を持てるものが見つかる場合もあるので、まずは目の前のこと一つ一つと向き合っていくことが大切ではないでしょうか。美容師という仕事が好きであれば、そのうち何かヒットするものがきっと見つかります。
ただ、自発的に興味を持てるものが見つかったら、悩むよりもはじめてしまったほうがいいと思います。そのほうが絶対に早いし、楽しいはず。
強みは、カットでもカラーでも、髪質改善でも、何でもいいと思うんですよ。何か一つ、全力で「これが大好き」って思える技術を持つことが大切です。
そして、アレンジが大好きな僕個人としては、一人でも多くの美容師さんの好きなものや興味を持てるものが、アレンジだったとしたら、よりうれしいですね。
- プロフィール
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Sai / MOTAI
都内に数店舗を構えるカリスマサロン、原宿のWilleを経て、表参道にプライベートサロン「sai」をオープン。髪のダメージを最小限に抑えた大人のデザインカラーや卒業式や成人式にぴったりの派手かわいいヘアセットが人気。
Instagram:@motapan
(取材・文/池山章子 撮影/河合信幸)