店販売上が2倍に! カラーリピート率と客単価が上がるカラーテク「ゼロテク」とは? ―MINX木俣翔さん
店の売上と客単価UP! さらに平均滞在時間にも変化が
結果的に、ゼロテクを導入して、よかったことだらけです。一番リアルなところで言えば、お客さまの単価が変わり、お店の売上も変わりました。
というのも、「ゼロテク」をしていると、施術中に頭皮のことを話題にすることが増えるんです。お客さまの意識が頭皮に行くのももちろんですが、技術に自信が持てるようになったことでアシスタントが饒舌になって、いろいろな説明ができるようになりました。
例えば、カラーをベタベタに塗ると頭皮に負担がかかります。そのあとにヘッドスパをしても、頭皮の健康状態はプラマイゼロですよね。でも、ゼロテクをしてからヘッドスパをすれば確実にプラスになる。そういった話ができると、お客さまも頭皮に対しての意識が高まりますし、美容師側からも「ゼロテクは薬剤から頭皮を守る役割は果たしますが、よくすることはできません。もっとよくしたいならヘッドスパなどをしていったほうがいいですよ」とアドバイスできます。そうすると、お客さまの納得度が一気に高まるんですよね。
特に無理やり営業しているというわけではなく、自然にやっていることを話すだけで、お客さまのほうから「なにかないの?」と聞かれたり、500円くらいのプチメニューをやる人が増えたりしました。「ゼロテクがいい」ということがわかってくると、「さらにプラスαでこうするともっといい」ということが伝わりやすいんです。結果、お客さまの美意識が上がり、お店の売上、お客さまの単価も上がる結果になったんだと思います。
さらに、お客さまのサロン滞在時間を短縮することもできました。ゼロテクは、髪を薄く取りながらコームで塗っていくので、塗る時間自体は、通常のカラーよりも少しかかるんです。ただ、ゼロテクは通常のカラーよりも薬剤の塗布量も少ないし、頭皮にベッタリついていないので、乳化したり、リムーバーを使ったりする必要がなく、流す時間がすごく早くなりました。放置時間に関してもどちらかと言えば、ゼロテクで塗るほうが早い気がします。通常のカラーだと上からペタペタ塗る感じですが、ゼロテクだとコームでしごいて、中から塗る。テンションかかって薬が全面から入るので、染まりもゼロテクのほうがいい気がします。アリミノからクイックカラーという薬剤が出ているのですが、それをゼロテクで塗ると、塗りの時間が5分多くかかったとしても、放置時間をかなり短縮できるし、リンスも早い。そういう薬剤を利用してカラーをすると、カットとカラーで1時間半ほどで帰れるので、お客さまの負担もかなり減ると思います。
「ゼロテク」の導入はなるべく早いほうがいい
MINX全体で「ゼロテク」を導入していると言うと、同業者からは、「興味はあるけど、サロンに落とし込むのが難しい」「サロン単位でやっているのがすごい」とよく言われます。地方セミナーでは、オーナーの方もいらっしゃるのですが、「ゼロテクを導入することで、サロンにどんなメリットがあるのか」と、聞かれることが多いですね。
そういうときには、「すぐに芽は出ないですよ」という話はしています。ゼロテクは、導入してすぐに結果が出るものではありません。でも一度その芽が出たら、時代が変わっていったとしても残っていける技術だと思います。やればやるほど、技術的にも向上するし、時間も早くもなります。導入を考えているなら、なるべく早いほうがいいという話もしています。カラー剤を無駄に塗らなくて済むぶん、材料費は下がるし、客単価が上がるメリットもあります。これから「ゼロテク」がますます必要になる時代になるでしょう。
金額やデザイン、カットが上手であることも大切だけれど、お客さまが一番に求めているのは、安心・安全というキーワードだと思うんです。銀座中央通り店に通っていただいているお客さまは特にそういう方が多いと思います。白髪染めをされる方だけでなく、例えばアレルギーを持っている方は、アレル物質を地肌に貯めないほうがいい。そういう意味では若い子にも需要がある技術なんです。今までのカラーとゼロテクでは、染まり具合は変わりませんが、もしかすると、毛穴に入り込んで染まっている通常カラーのほうが1週間のモチがいいかもしれません。しかし、仮にゼロテクをして1週間、来店間隔が早まったとしても、今はお客さまの中で安心・安全が占めるウエイトのほうが高いんです。顔まわりや表面が気になるというお客さまには個別で対応するなどは必要になりますが、安心・安全をベースに施術をするという意味でもゼロテクは、これからますます欠かせない技術になっていくと思います。
- プロフィール
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MINX銀座中央通り店
代表・トップデザイナー/木俣翔(きまたしょう)
ミンクスが誇る理論派スタイリスト。頭皮にカラー剤をつけない「ゼロテク」の導入に携わり、現在も全国で啓蒙活動のセミナーを行う。その場限りのデザインではなく、将来の髪のことを考えての施術に、リピーターも多数。新人育成のための教育システムづくりにも力を入れている。
(取材・文/池山章子 撮影/河合信幸)