20代は”習慣”を作る時期。振り幅の大きい経験を通して多角的な視点を養おう。〜レジェンドが語る「成長する20代美容師がやるべき2つのこと」〜 S.HAIR SALON 植田高史

2つ目:新しい価値観に触れる旅。できれば”一人旅”がおすすめ。

 

 

ひとつ目は細かく掘り下げていく話でしたが、ふたつ目は全く逆で、離れて引いて俯瞰して見るという作業、「一人旅」のすすめです。自分が育ってきた土地、慣れ親しんできた環境を離れて、自分に染み付いている常識や価値観が通用しない国を旅してみてほしいのです。言葉のコミュニケーションがままならない国外では、大変なことがたくさん起きるでしょう。そのたびに、自分の弱い部分や足りない部分がむき出しになります。でも家族や友達に頼らず、一人で決断していかないといけない。それを経験すると、自分の枠が広がるんです。ものごとを多角的に見れるようになり、視点が変わります。

 

 

そうなると、美容師としてお客さま一人ひとりに寛容になれます。いろんな価値観や状況下の人がいるということがわかるようになり、さまざまなことへの理解力が高まるからです。それが、人としての引き出しの多さや人間性の厚みにもつながります。僕は昔から、年に2〜3回は旅に出ます。最近は一人旅がなかなか難しいですが、今年は社員旅行と家族旅行で2回海外に行きました。旅行中は、最低でも1日は一人で歩き回る時間を作るようにしています。異国で誰にも頼れない状況をつくると見えるものが変わってくるので、今でもそれをやり続けているんです。

 

 

最も印象に残っている旅は、20代で出かけたネパールでした。まだスマホもない時代です。現地の空港で1〜2万円の現金を両替したら、札束が3束くらい出てきて、その貨幣価値の違いに衝撃を受けました。あとで知ったのですが、当時のネパールは年収5000円くらいの人がたくさんいた時代だったんです。そこで出会った人たちには日本では普段知り合えない登山家もいましたし、インド側、チベット側からやって来るバックパッカーもいました。彼らとの会話を通じて、さらに貧しい国が他にもあると知り、お金や幸せの価値についても考え、自分の中に問いが生まれるいい時間になりました。

 

 

ちょうど旅の初日に雨が降ってきて「いやだな、雨か。残念だな」と思っていたら、全身ずぶ濡れのロングドレッドの外国人女性と目が合ったんです。彼女は満面の笑顔で僕に向かって、「Nice rain!」と言って雨を喜んでいたんです。ハッとしましたね。このような自分の物差しが変わる経験が、旅先ではたくさん訪れます。海外には親切な人もいれば、騙そうとしてくる人もいて、その両方がすごくいい知見になります。日本で育ってきた方であれば、国を出て初めて日本を知り、自分を知ることができるでしょう。”立ち位置”を知ることができるはずです。自分が何をやりたいのか、それが本当にやりたいことなのかも含め、ちゃんと自分自身を見つめることができるようになるのが、一人旅の大きな作用としてあるのかなと思います。旅でいろんな視点を養うことで、いつか店長になったり、サロンオーナーになったときに必ず役立ちます。

 

 

>たった2つのこと

 

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