クリエイションを極める美容師へ。寄り道をした先で見て感じたことが人生を変えるかもしれない。 〜レジェンドが語る「成長する20代美容師がやるべき6つのこと」〜 第7回 gem(ジェム) 森川丈二
20代は美容師として、社会人として花開く土台を作る時期。長く、自分の思う美容師を続けるために、20代のうちにやっておくべきことがあるはず…!
そこで美容業界のレジェンドと呼ばれる方々に、「これをやったから今の自分がある」「今の時代の20代だからこそやるべきこと」など、今後の美容師人生を豊かにするためのヒントを語っていただきました。
今回は、コレクション・TVCM・広告のへアメークを手掛け、様々な雑誌でのヘアメイクやヘアショー・セミナーなどの活動を国内外で展開するクリエイションの先達。その所作の美しさと多彩な表現から「魔法の手をもつ」とも言われるgemの森川 丈二さんからのメッセージです。
JHA最年少グランプリ受賞、最優秀ロンドン賞2回・準グランプリ2回など受賞歴を持ち、クリエイションの伝道師とも言える存在の森川さんが今、20代の美容師に伝えたいこととは? ヘアメイクの道に進みたい美容師さん、クリエイションを極めたい美容師さん必見のインタビューです。
1つ目:苦しみも喜びも同じだけ感じられる自分をつくる。
誰にもチャンスは大なり小なり目の前に降りてきているものです。目の前を通過していることに気づかない人もいるし、つかもうとしてもつかめなかった人もいると思います。そもそもチャンスがあっても、それに気づく感性がなければつかめません。
同じことは、人生に訪れる喜びや辛さにも言えると思います。喜びも、辛さも、どちらも同じくらい訪れているかもしれない。けれど、苦しいことばかりだと思い込んでいる人もいますよね。
辛いな、痛いな、苦しいなという気持ちを強く感じてしまうのかもしれないけれど、本当はそれと同じくらい幸せなこともあるはずだと僕は考えています。毎日、幸せなことや喜びがあることに気づけないのだとしたら、それはもしかしたら自分を取り巻く環境にも原因があるかもしれないですね。
美容師はお客さまと接する仕事だから、苦しいことばかり感じている状態はよくありません。幸せを感じられる状態で仕事ができるのが理想ですよね。
では20代の僕はどうだったかというと、数年間美容室で勤務したのち、資生堂のヘアメイクスクールのSABFAで学んだことをきっかけに、資生堂へ入社しました。
その後、様々な活動を経てMASAというサロンを立ち上げることに。ディレクターとしてまず取り組んだのが「みんなで理想のサロンをつくろう」というコンセプトで、これまで自分たちが勤めていた環境で嫌だったことを排除していったんですね。
自分たちで掲げたルールなので誰のせいでもない!話し合いで解決することは、美容に没頭できるとても良い環境になりました。独立してからも変わらない理念です。
理不尽な世界にいたら、どうしても目の前の幸せに気づきにくいものです。だからこそ、まずは喜びを感じる感度を研ぎ澄ますこと、それでもどうしても苦しいことばかりを感じる環境に今いるなら、新しい環境を探してみることも一つの道だとは思います。ただ一つ言えることは悔しさや痛みはスパイスになるということ。良いスタイルを作るには何かを我慢することもが糧になることもあるのです。