ウッティーヨースケさんの「NYフォトシューティング裏話」

「いい写真を撮りたい」 とにかくそれがしたかった

 

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翌日、撮影をスタートしようとすると、とても目をひく人を見つけたので、つい「WAIT!WAIT」と引き留めました。その彼、サングラスを外すととにかくハンサムでフォトジェニックだったんです。幸先のいいスタートを切ることができました。

 

その後も、たて続けに撮影したんですが、ニューヨーカーは撮影を好意的に受け入れてくれました。ニューヨークではフォトグラファーはリスペクトされる職業だったため、その影響もあったのかもしれません。

 

カメラを向けると彼らは自分からポーズを作ってくれます。しかもそれが、とてもナチュラルでクールなんです。大人はもちろん、子どももレンズに向かって、かわいい表情を見せてくれる。僕たちって結構、カメラを前にすると照れちゃうじゃないですか。リアクションが全然違うんですよね。撮影後は、彼らとアドレスを交換して写真を送りました。

 

撮影しているときは、とにかくいいものをつくりたいっていう一心のみ。「日本からきたんだ。おねがいだから撮らせてほしい」と言ったり、何時間も歩き回ったりしていましたけれど、それが苦痛なんて思わなかった。本当に楽しくて楽しくて仕方がなかったんですよ。

 

後から見返しても、ブーケの色合いも、被写体も、グラフィックアートもバランスが最高によくて、ラッキーだったと思います。

 

 

その人の体験の質と量が、クリエイティブに比例する

 

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これもニューヨークであらためて感じたことですが、クリエイティブっていうのは、その人の体験から生まれるものだと思います。たとえば、それまで見たこともないような色の花に触れたら、僕の色の引き出しが増える。ニューヨークで見た景色や匂い、そこで暮らす人のイメージも、僕の血となり肉となっています。僕の体の新しいところに血液が流れて、表現の幅が広がる、そんな感覚です。

 

体験が大事っていうのはクリエイティブの話だけじゃなく、人間性にも関わってくることだと思います。ニューヨークのBLIND BARBERのメンバーは全員僕よりも年下だけれど、包み込んでくれるように懐が広かった。きっと、彼らは、人種のるつぼニューヨークで、本当にさまざまな価値観に触れて、いいことも辛いことも経験してきたからだと思います。僕も自分の知っている世界だけにとどまることなく、ボーダレスに生きてこれからもずっと自分を磨いていきたいです。

 

プロフィール
ウッティーヨースケ 

山口県出身。高津理容美容専門学校卒業。大阪の理髪店、ユニセックスサロンを経て、「カッコいい男性たちと一緒に年を重ねながら男を磨いていきたい」という想いから、MERICAN BARBERSHOPに参画。同店のHead Barberとして活躍している。新バーバー時代のデザイン&ロジックを公開した『Hello Barber』(女性モード社)のテクニックブックのディレクションを担当した。

 

(取材・文/外山  武史  撮影/菊池 麻美   ニューヨーク写真提供/ウッティーヨースケ)

 

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