JHA受賞作品常連カメラマン・松山優介さんが考える「センスのいい人に選ばれるセンス」

撮影前のコミュニケーション。人となりを知ることが、作品に深みをもたらす

 
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-ヘアの作品撮りは主役が美容師さんですよね。松山さんはそういう中で、どうやって自分のセンスを出しているのですか?


僕はヘアの作品であっても、最終的な責任はカメラマンだと思っています。写真はもちろん、ヘアやメイクの善し悪しも僕の責任。といっても、ヘアをつくり直してとは絶対に言わないですよ。ただそれ以外の部分で自分の意見は絶対に伝えるようにしています。

やっぱり美容師さんの作品なので、見せたいヘアをやってもらうのが一番。だけど言われたことをそのままやって、いい絵にならなかったらお互いハッピーになれないじゃないですか。だから美容師さんのつくりたいヘア、世界観を重視しながら僕が思う中で一番うまく見せられるところを探るようにしています。そういった過程で自分のセンスも投影されているのではないかと思います。

 

-松山さんは打ち合わせでも現場でも提案の仕方が上手だといつも感じています。きちんと意見は言うけれど、相手の気持ちを下げないというか。コツのようなものはありますか?

否定はしない、というのは心がけていますね。肯定から入って、ちょっとずつ変えていくような形で提案をするようにしています。僕自身褒められるのが好きなので、みなさんもそうかなって(笑)。撮影はチームでやるものなので、スタッフ同士が殺伐としちゃうと結局モデルの表情に出てしまうんですよ。さっきも言ったように、僕にとってはヘア写真もポートレート。モデルの表情やテンション、空気感がすごく大事なんです。モデルがベストな状態でカメラ前に入ってくれて、終わったあとに楽しかったと思ってもらえるためにも、そこに到るまでの空気づくりは大切にしています。

いろいろな美容師さんと撮影するようになってからは、より撮影前のコミュニケーションに力を入れるようにもしました。ヘアの話だけでなく作品のバックボーンや、ときには美容師さんご自身の話も聞くようになりました。やっぱり人となりがわからないと、通り一辺倒のただきれいなだけの作品になってしまう。以前よりもそうやって作品と向き合うようにしてから、撮影した作品にもより深みが出せるようになった気がしますし、結果にもつながっているのかなと思います。

THE REMMY・イセキリエさんとの作品はまさにポートレート。2016年JHA大賞部門グランプリを獲得。(c)SNIP STYLE

THE REMMY・イセキリエさんとの作品はまさにポートレート。2016年JHA大賞部門グランプリを獲得。(c)SNIP STYLE


-そういったコミュニケーション能力はどうやって高めてきたのですか?

 昔はもっと頑固で強気なタイプだったんですよ、僕。今日はこのライティングで行くから、みたいな感じでした。今のようなコミュニケーションのとり方は、『Double/HEARTS』の方たちと撮影する中で身につけていった部分が大きいです。個性が強く、既に絵が見えている人たち相手に、自分の色を出すにはどうしたらいいかをすごく考えた時期。「それいいね!」って言ってもらえないと、飲み込まれてしまいますから(笑)。人間性も強くなったし、提案を受け入れてもらう術をそのときに学ばせてもらいました。

 

>松山さんが思うセンスのいい美容師とは?

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