都内の有名サロンじゃなくても雑誌撮影の依頼はくる? 4人の美容師の雑誌撮影のきっかけ
自らBOOKを持ち込み。大切なのは撮影をやりたいという強い気持ち
-log 馬橋達佳さんの場合-
馬橋さんが経営する「log」は、代官山の駅から徒歩5分の便利な立地にありながら、とても静かで落ち着いた雰囲気のサロン。おしゃれでちょっと外しの効いたスタイルが得意な馬橋さんは、今でこそ、『ar/主婦と生活社』や『FUDGE/三栄書房』、『Ray/主婦の友社』など、ヘアカタログの常連になっていますが、はじめての撮影は、自らのBOOKの持ち込みがきっかけでした。
「はじめてもらった撮影は、『smart HEAD/宝島社・休刊』の巻頭ページ。それまで何度もライターさんへBOOKの持ち込みをしては、連戦連敗だったので、まさにきたぁぁぁぁぁ!!! って感じでしたね。
撮影のあとは、反省しか残りませんでした。今でもそうなのですが、誌面になったあとも、アラを探すくらいに自分のヘアをチェックして。でも同時に、単純にすごくうれしくて、今でも掲載誌を大切に手元に残しているくらい感動したのを覚えています」
初撮影後もコンスタントに撮影の依頼が来たわけではなく、編集やライターへのBOOKの持ち込みを定期的に続け、ヘアスタイルにかける思いや撮影をしたいという気持ちを伝え続けたという馬橋さん。
「大切なのは、撮影をやりたいという強い気持ち。それさえあれば、必然的に行動ができると思うから」。
最後にお話を伺ったのは、ITの時代が生んだ現代版シンデレラガール、「Daisy」のRUMIさん(土田瑠美です。
Instagramをみてかかってきた1本の電話で生活が激変。福岡と東京を往復する日々に
-Daisy RUMIさん(土田瑠美)の場合-
SNSのない時代(といってもつい一昔前)だったら、福岡で美容師をしているRUMIさんの才能が全国的に披露されることはなかったかもしれません。福岡の人気サロン「Daisy」で、毎日、お客さまの髪をカットし、パーマをかけ、カラーをし、とごく当たり前に美容師として生活をしていたRUMIさん。「環境が激変した」のは、2014年のこと。東京からかかってきた1本の電話がきっかけでした。
「電話の相手は、『mina/主婦の友社』の編集さんでした。私がインスタグラムであげていた髪型を見て、RUMIさんのアレンジ特集ページを組みたいからと。本当に驚きましたね。インスタグラムは、普段、私がつくっている作品や好きなものをアップしていただけだし、全国誌の撮影は都内のサロンじゃないと無理という気持ちがあったので、え? って感じで。でも同時にとてもうれしかったのを覚えています。
誌面になって驚いたのですが、なんと8Pの特集! 当日は20スタイルくらいつくったと思います。体数も多かったので、撮影日までは『自分の幅を広げよう』とアレンジの仕方をノートに書いたり、気になったことをメモしたりしていましたね。その甲斐あってか、撮影では自分の力を出し切れたかなと思います。なにより、両親がとても喜んでくれて。今も、少しでも雑誌に載っていると必ず買ってくれるんです。思いがけないことでしたが、親孝行できたのがとてもうれしかったですね」
そんなRUMIさん、雑誌発売後は「生活が激変した」といいます。
「minaだけでなく、ほかにも『美的』や『MAQUIA』など、さまざまな媒体で取り上げていただいて、福岡と東京を往復する日々ですね。ありがたいことに、新規のお客さまも増え、遠くは北海道、韓国からもお客さまが来てくださいます。でもアレンジは、毎日13時までって決めているんです。新規のお客さまはもちろんですが、以前から来てくださっているお客さまも大切にしていきたいので」。
有名サロンかどうかより、自らの方法で発信してくこと
確かに、都内の有名サロンの方が地方サロンよりも撮影の依頼が来やすいという意味では有利かもしれません。ただし「有名サロンにいること=撮影の依頼が来る」のは、「撮影依頼が来続ける」とはイコールではなく、あくまでもスタイリスト本人の努力が結実した結果です。
ここに登場したスタイリスト4名は皆、自分の好きなものをきちんと知り、さまざまな形で発信してきました。そしてその撮影というチャンスを最大限生かすべく、さらに努力を重ねているのです。
「SNSがある今は、地理的なハンデはあまりなくなり、スタートラインはみなさんほぼ一緒。自分の作品や『いいな』と思うものを発信していけば、絶対に誰かが見てくれる。大切なのは、発信し続けることだと思います」。
「いつか雑誌の撮影をしてみたい」という美容師さんへの答えは、インスタグラムでの発信から、瞬く間に一世を風靡することになったRUMIさんの言葉にすべて詰まっているのかもしれません。
NORA HAIR SALON
クリエイティブ・ディレクター/片山良平(かたやまりょうへい)
再現性が高く、ゆるっとしたヌケ感のある柔らかいスタイルが得意で、「今一番お願いしたい美容師」に選出されたこともある実力派。笑顔が爽やかなイケメン美容師としても評判。
KATE
ジュニアスタイリスト/MAKO(及川真心・おいかわまこ)
日々のスタイリングが簡単なのに可愛いスタイルが得意。雑誌の撮影やショーなどではメイクも担当。絶対に可愛くなれる「MAKOメイク」として、サロンモデルからも人気が高い。
log
代表/馬橋達佳(まばしたつよし)
都内の某サロンを経て、2008年に代官山にlogをオープン。奇抜じゃないのにどことなく外しをきかせたおしゃれなスタイルが得意で、雑誌や業界誌で活躍中。
Daisy
スタイリスト/RUMI(土田瑠美・つちだるみ)
福岡の一美容師から全国区の人気者に上りつめた、まさにIT時代の申し子。インスタグラムのフォロアーは20万人を超える。数々の女性誌からのオファーが絶えない人気者。
(取材・文/QJナビ編集部)
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