えっ、雑誌のヘアメイクとサロンワークって一緒なの?|Violet前原穂高インタビュー
「美容師になったからには、雑誌でヘアメイクの仕事をしてみたい!」と思う人も多いはず。とはいえ、そのきっかけを掴み、実際に仕事にできるのはごくわずか。今回は、そんな狭き門をくぐり抜け、第一線で活躍しているひとり、人気サロンVioletの代表・前原穂高(まえばらほだか)さんに、「ヘアメイクの仕事をするようになったきっかけは?」「仕事のオファーをもらうために努力していることは?」など、さまざまな質問をぶつけてきました。
デビューしたら各雑誌の編集部に作品集と名刺を送って営業
-前原さんはさまざまな雑誌でヘアメイクの仕事をされていますよね。編集の方からも『前原さんはヘアメイクのことだけじゃなくて、企画全体のことまで考えてくれる』と評判です。ヘアメイクの仕事をするようになったきっかけは? ヘアメイクの仕事をもらうために、特別にしていたことはありますか?
最初にヘアメイクの仕事をくれたのは『Ane Can』(小学館)でした。金子史(*1)のアシスタントについていたことがあったのですが、金子が『CanCam』をやっていたこともあって、そのつながりでオファーをしてくれたんです。
デビューしたときには、アシスタント時代に知り合いになった編集部宛に、作品集と名刺を送りましたね。「デビューしました」というお知らせと『なんでもいいからお仕事ください』っていう意味を込めて。『CanCam』(小学館)、『JJ』(光文社)、『ar』(主婦と生活社)、『with』(講談社)など…、かなりの数の編集部に送ったと思います。
-作品集を受け取った編集部からの反応は?
作品集を送ったのがきっかけかどうかはわかりませんが、『AneCan』でお仕事をもらったあと、『JJ』の読者ページをもらったり、イケメン特集のメンズのヘアメイクをやらせてもらったりするようになりました。
-順調だったんですね。
「とにかく、なんでもやるので!」という気持ちで仕事をもらっていましたね。というのも、デビューしたての頃ってお客さまがこないので、スタイリストのアシスタントをするか、客ハン( *2)をしなきゃいけないんです。それが本当に嫌で(笑)。「外の仕事をすれば、客ハンをやらずに済むのでは?」という気持ちもあって、編集の方に「なんでもやります!」と仕事をもらっていました。会社を通さず、電話やラインで直接、やりとりしていたので、その当時は、僕が客ハンをしていると思っていたと思います。
-えっ! 会社を通していなかったんですか?
そうなんですよ。でも、半年後にバレました(笑)。通常、ヘアカタログなどの撮影だとギャラは出ませんが、ヘアメイクの仕事だとギャラが出ますよね。でも、デビューしたばかりだったので、その仕組みを知らなかったんです。僕としては、とにかく客ハンしなくて済むように“やること”をください!って感覚だったんですね。半年後に、編集部から会社に「穂高くんから請求書が1枚もきてないのですが…」という連絡がきて、そこで初めて会社の知るところとなりました。
-会社には怒られませんでした?
いや、ところが、そうでもなかったんです。怒られるというよりは、「頑張っているんだね」って感じでむしろ褒められるという結果になりました(笑)。
-ほかのスタイリストさんが客ハンをしている間に、前原さんは外の仕事をしていて、どうやってお客さまを増やしたのですか?
『JJ』の読者ページで仲良くなった読者の女の子とか、その友だちとかが来店してくれるようになりました。客ハンできてもらうようになったお客さまよりも、知り合いとか、知り合いの知り合いとかの方がリピート率も高いので、結果的に、リピートしてくれるお客さまも増えていきました。
*1 AFLOAT COO 金子史氏
*2 街に出て、お客さまを探すこと