街の美容室Vol.3 銀座 資生堂 サロン&スパ 銀座 島村一誠さん
それぞれの街を代表する美容師さんをインタビューする企画、「街の美容室」。第三回目の街は「銀座」。
老舗のお店をはじめ、GINZA SIXや東急プラザの新しい大型商業施設のオープン、ファストファッションなどのカジュアルなお店、街の中であらゆる面を見せてくれる場所ではないでしょうか。また最近ではサロンのオープンラッシュで気になっている美容師さんも多いはず。今回は資生堂 サロン&スパ 銀座 トップディレクターの島村一誠さんに銀座についてお伺いしました。
−まずは島村さんの経歴を教えてください。
資生堂グループのサロンに入社して、まずは渋谷からキャリアをスタートさせました。その後、新宿の伊勢丹に異動となり、銀座にきて4年目になります。
−銀座にくる前の銀座の印象、きた後の印象をお伺いできますか?
実はあまり銀座にきたことがなかったので、敷居が高くおしゃれをしないといけない街だと思っていました。
でも実際は、ファストファッションのお店もあるし意外とカジュアルな装いの人も多く、年代もさまざまだったので安心しました。
−今、銀座はさまざまな商業施設ができていますが、お店には何か影響はあるんですか?
お店への直接の影響は感じませんが、明らかに人の流れが変わっていく様がおもしろいですね。お店の斜め前にある、東急プラザが完成したとき、今まではそちらへ信号を渡る人はほとんどいなかったのに、いっせいに東急プラザへ流れていくのはびっくりしましたね。
商業施設のオープンではないのですが、2020年東京オリンピックが決定したときから海外からのお客さまにご来店いただくことが増えました。
−海外からのお客さまの来店動機は何なんでしょうか?
近隣ホテルからのご紹介でご来店いただきますね。
スパ併設なサロンなことと、資生堂は海外でも知られていることから、ご紹介いただけているのかもしれません。英語ができるスタッフもいるんですよ。
−島村さんが銀座のサロンにこられて感じた、他の街のお客さまとの違いはありますか?
普段するようなスタイルでは物足りないお客さまが多いように感じます。非日常だったり、お出かけするときに合うヘアスタイルを求めている方が多いです。
あと、銀座のお客さまはひと手間をかけることを厭わないですね。日常的にコテやカーラーで巻いてスタイリングをされている人がとても多いです。
−今、手間をかけないスタイルがトレンドですが、驚きです。
ヘアスタイル含めて、ファッション・ライフスタイルへの興味・関心のレベルが高いんだと思います。当然、こちらも一歩踏み出した提案を求められます。手間をかけずにセットできることは当たり前、お客さま自身が手間をかけた時に少しでも物足りなさを感じられると美容師も飽きられてしまうんですね。
なので、こちらも応え続けていかなくてはいけないプレッシャーは常にあります。
でもその分、チャレンジしてくださるお客さまがとても多いので、私たちも提案しがいがあって、とても楽しいです。
−一歩踏み出す提案とは例えばどんな工夫をされていますか?
例えば普通だったらヘアカタを見ながらご提案することが多いと思うんですが、僕はあえてファッションページのモデルさんのヘアスタイルを見せてしまうこともありますね。
−そうすると髪が動いてしまっているので、お客さまからしたら分かりづらいのでは?
逆にその髪の動きを説明します。歩くとこんな感じで髪がなびくと思いますよ、と少し踏み込んだ提案をしてお客さまの反応を見てスタイルを決定していきます。
−日常的な興味・関心のレベルが高いとのことですが、ヘア以外にレベルが高いと思うときはありますか?
ファッションでも感じますね。季節を取り入れるのがとても早いですよ。8月終わり、 ほんの少し秋を感じるようになってきたら、 いち早く秋色を取り入れていらしたりとか、サンダルがブーツに変わったりとか……もちろん冬から春にかけても同じくです。
なので、スタッフ全員の服装も季節感をものすごく大事にしています。
−島村さんが銀座の美容師として大事にしていることをお聞かせください。
銀座にきて4年目になりましたが、いい意味で銀座に慣れないようにと思っています。
お客さまはここで髪を整えた後、銀座でお食事したり、お買い物をしたり。やはりお客さまにとって銀座は特別な気持ちでいらっしゃる方が多いんです。
銀座を日常にしないように、いつも新鮮な気持ちでお客さまを迎えるように心がけています。
- プロフィール
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資生堂 サロン&スパ 銀座 トップディレクター 島村一誠
東京都出身。国際文化美容専門学校渋谷校を卒業後、資生堂グループのサロンに入社。伊勢丹新宿店でチーフを務めた後、銀座店へ。カットが得意で特にショートカットが。また接客術にも定評があり、お客さまのみならずスタッフからの信頼も厚い。
(取材・文・撮影/高橋 優璃)