街の美容室vol.16 新宿 backstage.

 

それぞれの街を代表する美容師さんをインタビューする企画、「街の美容室」。十六回目の街は「東京/新宿・歌舞伎町」です。

新宿・歌舞伎町は、日本最大の歓楽街。近年ではクリーン化が進み、海外から観光客も多く訪れるようになりました。そんな歌舞伎町でセット専門サロン「backstage.」を立ち上げ、マネージャーとして活躍する大石雅也さんに、歌舞伎町で美容室を開いたきっかけや、セット専門サロンの魅力などをおうかがいしました。

 


 

−まず、「セット専門サロン」との出会いについて教えてください。

 

 

はじめは「セット専門サロン」を知らなくて、その出会いは本当に偶然でした。高校のときからニュージーランドに留学をしていて、美容師の免許もニュージーランドで取りました。美容師になったのは、言葉を介さなくても人とつながれる技術を身につけたかったから。親が美容師でその影響もあり、「手に職をつけたい」という気持ちもありました。卒業後は日本で働きたいと思ったのですが、向こうの免許では日本で働けない。だから日本で働きながら通信制の美容専門学校で美容師免許を取ることにしたんです。

 

帰国してすぐに行った専門学校で、たまたま錦糸町の「セット専門サロン」のスタッフ募集の張り紙を見つけました。そのときの面接で、「セット専門サロン」とは、夜の仕事をする人たちの髪をセットする美容室であることを知りました。説明を受けるまでは、キャバクラやホストクラブというものがあることも知りませんでした。

 

当時は一刻も早く働きたいと思っていたので、面接当日に「今日から働いて」と言われ、その日から働き始めました。夜のお仕事の方々の髪型をセットするのが仕事なので、スタートは午後4時から、終わりは11時以降で帰るのは終電という生活がはじまりました。

 

 

−通信教育で勉強しながら、働きはじめたのですね。「セット専門サロン」と聞いて、どんな印象を受けられましたか?

 

 

面接のとき、「髪型をつくるときは、カットやカラーが重要だと思われているけれど、最後の仕上げのセットが完璧にできれば、髪型は自由自在。カットやカラーがうまくいかなくても、セットで上手にきれいに見せられれば、お客さまに満足してもらえるんだよ」と教えてもらいました。

 

ぼく自身、実はカットやカラーにあまり興味をもてなくて、それで「セット専門」という世界にはまったんです。カットやカラーで人をきれいに見せようとすると何時間もかかるけれど、セットならたった10分ほどで、パッと華やかにしてあげることができます。そうした意味で、すごく魅力的な仕事に感じました。

 

入社3ヵ月後にサロンが派遣の仕事もはじめ、キャバクラに派遣されました。ぼくは髪の毛をアップすることもまだできないような状態で、キャバクラのキャストの女の子たちに随分もまれて、育てていただきましたね。ガンガン言われながら(笑)。

 

その2ヵ月後、今度は千葉に開店した新店舗の店長になりました。8面もある広いお店で、お客さまを獲得するために、キャバクラやホストクラブに営業にも行きました。それから2年ほどするとお店の経営も安定し、美容学校も卒業して美容師免許も取れたので、お店をやめて歌舞伎町でフリーで活動しはじめたんです。

 

>変わっていく歌舞伎町で働く面白さとは?

 

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