街の美容室vol.15 自由が丘 AUQWA
それぞれの街を代表する美容師さんをインタビューする企画、「街の美容室」。十五回目の街は「東京/自由が丘」です。
自由が丘は、閑静な住宅街とおしゃれなショップやカフェなどが混在する人気のエリア。都心からのアクセスのよさ、治安のよさから住みやすい街としても注目されています。自由が丘に店を構え9年目のAUQWA(アウクワ)のオーナー・ヘアデザイナーの東方洋敦(とうほう ひろあつ)さんに、自由が丘でお店を開いたいきさつや街の魅力をおうかがいしました。
−お店を出す場所に、自由が丘を選んだのはなぜですか?
もともと自由が丘の美容室に勤めていて、26〜30歳までの4年間、店長をしていました。入社当初から、30歳で独立したいという意思はオーナーに伝えていました。27歳のとき改めて「30歳で独立したい」と伝え、具体的に話を詰めていた段階で、オーナーが「後継者として任せるから、場所もお客さまも全部もっていっていい」と言ってくださいました。とてもありがたいお話だったのですが、場所は新たに自分でつくりたいという気持ちが強かったので、話し合いの末、スタッフを半分連れ、お客さまはすべていただいて、新しい場所でスタートすることになりました。
独立を具体的に考えていた当初は、勤めていた美容室と同じ地域で店を出すのは失礼だと思い、中目黒など別の地域に店を出すことを考えていました。でもこれまでのお客さまをすべて任せていただけるとなると、やはり自由が丘でやるのがお客さまのためにもいいと思い、自由が丘に店を出すことを決めました。
−独立したいと思ったきっかけは、どんなことだったのでしょうか。
美容師になろうと思った高校生のときから、30歳で独立することを決めていました。人の敷いたレールの上を走るのではなく、自分で道を切り拓いていきたかった。もともと直感を信じて人生を突き進んでいきたい、というタイプなんです。
美容師になった当初はお金がなかったのですが、開店資金のために、1カ月に5000円とか1万円とか、少額でも欠かさず毎月銀行にお金を入れ、30歳までに1000万円貯めました。そして31歳の誕生日を迎えるギリギリ1カ月前、30歳のうちになんとか開業しました。
「30歳で独立する」ということは最初から決めていたので、絶対に守りたかったんです。少しでも時期がずれてしまうと、この先もいろいろと言い訳をして自分に甘くなってしまいそうだったので、そこはがんばって死守しました。
実際にスタッフを雇用して美容室を経営していくとなると、大きな責任をともない、生半可な気持ちではできません。つらいこともありますが、「スタッフの生活を支える責任がある」というのがいいプレッシャーになって、がんばり続けられるのだと思っています。