街の美容室vol.11 二子玉川 ONEone 二子玉川 中山雄太さん yumi*さん
−ママ専用サロンを開こうと思ったきっかけについて、教えてください。
中山:お店を立ち上げる前、ぼくは美容師をしたり、ファッション誌のライターをしたりしていて、美容業界の知人も多かったのですが、美容師の友人から、「東京には、女性美容師が子育てをしながら働き続けられる場所がない」という話を聞いたんです。その友人の妻も美容師で、子育てと仕事の両立ができず困っているところでした。そこで、何かぼくにできることはないかと考え、「子育て中のママ美容師が働ける環境」をつくろうと思ったんです。その知人の妻というのが、今の店長SHOKO(産休中)です。
ちょうど20代後半でまわりから子育ての話を聞くことも多くなり、子育て中には美容室に行くのもままならない、ということも知りました。そしてSHOKOとともに、「ママによる、ママのための美容室」をつくろうと、まずはお客さま集めやリサーチのために、無料の出張カットをはじめたんです。開店する半年前からスタートし、50件以上のお宅にうかがいしました。
yumi*:私はもともとヘアメイクの仕事をしていましたが、産後復帰して1年ほどたったころ、保育園がお休みの日曜日や祝日も働きたくなったんです。でも、誰かに預けてまで働きたいとは思っていなかったので、子連れで働ける環境を探していました。そんなとき、SNSを通じて「ONEone」を知って、参加しました。
ここは勤務時間が短く、子連れで出勤でき、子どもの面倒も見てもらえます。平日は子どもを保育園に預け、土日や祝日は子連れで出勤しています。土日や祝日に子どもを預けてまで働こうと思わない方も多いと思いますが、ここなら気兼ねなく子連れで仕事ができるので、いいですね。女性美容師は出産を機に引退してしまうことが多いのですが、こうした環境がもっとあれば、働き続けたい人も多いと思います。
−出張カットで得たものは大きかったですか?
中山:そうですね。そこで得たものを「ONEone」にすベて盛り込みました。何より、美容室に行きたくても行けない方が予想以上に多くて驚きました。小さなお子さんが何人もいたり、預けられる場所がなかったり…理由はさまざまです。託児所付きの美容室に行ったとしても、授乳やオムツ替えのことなど、いろいろなことを考え、準備してから美容室に行かなければならないということもわかりました。
あと、美容室だと緊張してどうしても髪の毛を切れないお子さんもいますが、訪問カットだと安心して切らせてもらえる。それはなぜなのか考えてみると、家という日常の空間の中で、すぐそばにママがいて、他にはスタイリストとぼくの2人しかいなくて、安心感があるからかなと。だから「ONEone」は貸し切りにし、お子さんが安心でき、ママも人目を気にせずにリラックスできる環境にしました。押入れがあったり、金魚鉢や植木鉢の置かれたバルコニーがあったり、日常を感じられる空間づくりを心がけました。
リサーチのときは記録用にお子さんやご家族の撮影をさせていただいたのですが、データをお送りしたら「記念になる」と、みなさんとてもよろこんでくださったので、今でもお子さんやご家族を撮影させていただき、無料でお配りしています。