東京のフラワーシーンを変えたfarverのオーナーは“元美容師”
美容室の助けがなかったらfarverは存続できなかった
今でこそfarverは東京のフラワーシーンに影響を与えたと言われていますが、実は美容師さんたちの力に支えられている部分が大きいです。迷惑をかけた代官山のサロンや、同級生が表参道で立ち上げたサロンなど、影響力のあるサロンがfarverを紹介してくれたんですよ。恩人たちの助けがなかったら、farverは存続していないかもしれません。
美容師時代の仕事のやり方も今に生きています。じっくりカウンセリングしてデザインする美容師と同じように、僕たちもお客さまの要望やその日の気分、渡す相手や、好みの色などをヒアリングして、世界にひとつのフラワーデザインをしているんです。デザイナーによって個性があって、同じ花をつかっても表現する内容は違います。だからお客さまの好みに合ったデザイナーが指名されるんです。このやり方が花業界ではまた珍しかったから、farverを知ってくれる人が増えたのだと思います。
一方で、来年でfarverを立ち上げて10年という節目でもあるので、もう一度原点に立ち返りたい想いもあります。これから先自分にどんなことができるのかじっくりと考え、また新しい提案をしていきたいですね。
♦♦♦美容師への応援メッセージ♦♦♦
お世話になった代官山のサロンが拡張移転をするとき、挨拶をしにいきました。オーナーには「どの面下げてきてんだ! それでも顔を見せにくるのが、お前のいいところだよな」と言っていただいたんです。それから随分と助けられて頭が上がりません。同級生のサロンにも恩を感じています。そして、僕は途中で辞めてしまいましたが、育ててくれた美容業界に心から感謝しています。
- プロフィール
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farver
オーナー/ディレクター 渡辺礼人(ワタナベアヤト)
2010年、中目黒に屋根も扉もない庭の様な花屋「farver」をオープン。2012年、同じく中目黒で場所を移し「secret garden」をテーマにした新しい「farver」をスタート。「ファッションとしての花」をコンセプトに線密なカウンセリングから「その人のライフスタイルの中に溶け込む花」を提案。ショップワークを中心にブライダルや様々な空間のスタイリング、ディレクションをこなす他ワークショップやセミナー、商品開発等も行い活動の幅は多岐にわたる。
http://farver.jp/
( 取材・文/外山 武史 撮影/菊池 麻美)
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