美容師が花屋をしたら成功する!? 帽子・ヒゲ・メガネがトレードマークの店主が、美容師に学んだこと

 

表参道駅から少し離れた閑静な住宅街で、ひっそりと佇むフラワーショップVOICE。オーナーの香内斉(こうないひとし)さんは、界隈のハイセンスなヘアサロンをはじめ、さまざまショップの店頭で、その空間にあった花の生け込み(※)をしています。その営業スタイルのヒントの多くは、美容師の仕事術と通じるものがあるのだとか。今回は、フラワーショップとヘアサロンの共通点に触れつつ、帽子・ヒゲ・メガネがトレードマークの香内さんと美容師の関係について聞きました。

※店舗、オフィス、ホテル、イベント会場、個人宅など、依頼のあった場所にお花を持って出張し、その場で生けること

 


 

元美容師がオーナーのフラワーショップで修行

 

僕の仕事は、まずお客さまの声を聴くことが出発点。たとえば、お客さまの店先で花の生け込みをするとき、そのお店のコンセプトや客層などをじっくり聞き、そこにある花瓶に合わせて花を選びます。自分の店にいらっしゃるお客さまの花選びをお手伝いするときは、仮にその贈り物なら何のための贈り物で、送る相手がどんなパーソナリティなのかを聞いてから選び始めるんです。

 

 

こんなふうに、僕がオーナーを務めるフラワーショップVOICEでは「こえを聴き、こえを届ける」をコンセプトとし、コミュニケーションを大切にしながら、「花からはじまる暮らしのかたち」を提案しています。美容師さんがお客さまの髪についてカウンセリングしながら、髪型を決めていくのと同じですね。

 

僕は独立前、farverというフラワーショップで働いていました。きめ細かなカウンセリングから「その人のライフスタイルの中に溶け込む花」を提案するのがショップのコンセプト。オーナーが元美容師だったので、自然と、お客さまの「声」を大切にするショップになったのかもしれません。僕がオーナーと知り合ったときは、まだ一人で営む小さなショップでした。でも、当時からお客さまの「声」をもとにオーダーメイドするスタイルで、新鮮に見えたんですよね。それで、初めは土日からということで働き始め、気づけはフローリストとして6年働くことになりました。

 

円満退社が大切なのはヘアサロンと同じ

 

 

花の組み合わせは無限にありますし、同じように見える花でも、よくみると一輪一輪、表情が違います。お客さまの用途もさまざまですし、同じお客さまでも、その日の気分で魅力的に見える花が変わるもの。だから、一つとして同じ仕事はありません。何年やっていても、毎日が新鮮で飽きないです。

 

前職のfarverは、美容室と同じでフローリストにお客さまがついているような感じでした。いずれ、自分のショップを持ちたいと願うのも、きっと美容師さんと同じだったと思います。でも、独立の話は僕のなかで、グレーゾーンの話題でした。オーナーからしたら独立してほしくないだろうし、僕よりの下のスタッフも育っていなかったし…僕の中では独立はまだ先の話だったんですが、あるとき「もう35歳か、独立するなら早いほうがいいよね」とオーナーが背中を押してくれたんです。そして、2017年1月からVOICEをスタートさせることができました。これまで僕についてくれたお客さまを案内してもいいということで、お客さまがいる状態から始められたから、今があります。

 

以前インテリアの仕事をしていた香内さんが手作りで作ったインテリア

 

 >帽子・ヒゲ・メガネはキャラづくりと実用を兼ねて

 

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