“日本酒のある暮らし”の啓発に美容師の力は不可欠 ―きき酒師と美容師の関係―
お酒×英語×着物で唯一無二の日本酒ソムリエに
やがて結婚、出産し専業主婦になってからも日本酒の熱は下がることなく、一人で少しずつお酒を楽しみながら、知識をつけていきました。好きなことを仕事にしたいという想いはそのころからあって、得意な英語を活かして、近所の子どもたち向けの英会話教室をはじめました。でも、まだ子どもが小さいこともあって家事・育児が中心の毎日。ほとんど子どもとしか話さない日々で、元来外で活動するのが好きな私は、なんだか土の中で暮らしているような気分でした。
転機は東日本大震災。人生は一度きり。いつ何があるかわからない。ちょうど、子どもも小学生になって少し手が離れたので、動けるうちにできることをやろう、と思ったんです。まずきき酒師の資格をとり、その後、横浜市で開催されている女性起業家支援塾に入塾。講義のなかで事業プランをプレゼンし、ブラッシュアップしていくうちに、大好きなお酒と得意な英語を組み合わせて、ソムリエのような活動を始めるイメージが固まってきたのです。卒塾生に着物のすばらしさを教えてくれる方がいたこともあり、着物でお酒のある暮らしを広める今のスタイルが誕生しました。
それで今に至るわけですが、たとえばお節句ごとに、日本家屋で着物を着てお酒とお料理を楽しむ日本酒会では、美容師さんの力をお借りし、撮影会の前に参加者のみなさんの髪をセットしていただくことも。着物姿でお酒の魅力をイベント会場や企業のパーティーで紹介するときには、和服に合う髪を作ってもらっています。いつもお願いしているのは、beup-cloudの加藤さん。かれこれ10年以上のお付き合いになります。
美容師さんは「衣」の活動に欠かせない存在
加藤さんは、なんでも対応してくださる技術だけではなく、絶妙な距離感で居心地のいい空間をつくってくれます。いつも自然体で、必要なことは話すけれど、一方的に話し続けるようなことはしません。私の髪質も、私の好きなスタイルも把握してくださっています。仕事の前にヘアメイクをお願いするときは、着物や帯の色に合わせて雰囲気に合ったスタイルにしてくれます。
ちなみに、私だけではなく家族も加藤さんにお願いしているんですよ。独身で都内に住んでいたころは、ちょくちょく美容室を変えていましたが、今はもうすっかり美容室を変えない主義になりました。きき酒師として広めようとしているお酒のある暮らしの衣食住の、衣の部分にも深く関わっていただいているので、今後もお付き合いさせていただくつもりです。60歳になったらベリーショートでカッコよく着物をきこなしたいという夢もあります。そのときも、加藤さんにお願いできたら素敵ですね。
加藤さんはじめ、さまざまな方の助けがあって、今の私があります。きき酒師の活動をはじめて数年ですが、「引き寄せ」の力を感じる日々です。自分の意志を明確にして、人に話したり、発信したりすれば、力になってくださる方が見つかります。もちろん、漠然とした状態では見つからないかもしれませんが、準備ができている人には巡ってくるものです。新しいことを始めようと考えている美容師さんは、まずは発信してみてはいかがでしょうか?
♦♦♦美容師への応援メッセージ♦♦♦
私にとって美容室は素の自分に戻れる場所。憩いの場です。一生懸命な美容師さんたちにも、ぜひそういう場をつくって素になってくつろいでほしい。もしお酒が好きなら、小料理屋さんで一杯でもいいと思います。私たちが美容室で自分にご褒美をあげているのと同じように、美容師さんもご自身にご褒美をあげてほしいですね。
- プロフィール
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横浜 桜酒亭(Osaketei) 日本酒きき酒師
磯野 カオリ(イソノ カオリ)
神奈川出身。お酒を通じて衣食住をプロデュースする日本酒ソムリエ(きき酒師)。 横浜 桜酒亭(Osaketei)代表。パーティ出張、日本酒イベント企画開催、蔵元見学ツアー、日本酒講座、酒屋、飲食店のコンサルなど行う。オンラインショップ「日本酒&ギフトサロン 桜酒亭」を展開。
http://osaketei15.com/
( 取材・文/外山 武史 撮影/菊池 麻美)
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