あのカリスマの元弟子が紡ぐ波乱万丈な物語
2015年9月に原宿VACANTで上演された舞台『sea , she , see』。そのプロデュース・主演・脚本・演出・衣装・タイトルデザインまで行った濱田真和さんは、映画・演劇の世界で注目される若手の一人です。彼の表現のルーツは、とある有名美容室にありました。
SHIMAの奈良裕也氏に誘われて
生まれは高知。親が転勤族だったので、熊本や山口を経て、多感な時期は宮崎で過ごしました。高校は進学校でしたが肌に合わず。周囲に反対されながらも、美容師になるために福岡の大村美容専門学校へ進学し、卒業したらSHIMAの天神店で働くつもりでした。
ところが、研修旅行で東京に行き、人生が変わりました。せっかく上京するのだからとSHIMAのカリスマ、奈良裕也さんに髪の毛をお願いしたとき、「モデルやらない?」と声をかけてもらったんです。それが縁で一緒に働かせてもらうことに。奈良さんは僕の人生の恩人。でも結局、SHIMAには1年半くらいしかいませんでした。
辞めたきっかけは入社2年目のヘアショー。モデルが闊歩するランウェイを眺めていたとき、「はぁ…映画、観たいな」って思ったんです。美容師が一番充実感を得るはずの瞬間に、映画のことを考えているような僕は、場違いだと思いました。僕は昔から休日に何本も観るような映画好き。やりたいのはこっちだと気づいたわけです。
そんな理由で辞めると言っても誰も納得しません。でも、奈良さんに相談すると、「俳優・・・そっちのほうが向いてるんじゃない?」と背中を押してくれました。1年半一緒に働いた師匠から、美容師以外が向いていると言われるのは複雑でしたけれど(笑)。