数字では示せない自分らしさを大切に――トップを走り続ける人気美容師・井上カナさんが伝えたいこと

 

大手の有名サロンで活躍中だった人気美容師・井上カナさんが、30歳という人生の節目ともいえるタイミングで表参道のサロン・Liner(ライナー)に活動の拠点を移しました。これまでの活躍はもちろん、リブランディングを決意し、新しい環境でサロンワークをすることに決めたという井上さんの姿は、多くの女性の美容師さんにとって憧れであり目標にもなっています。

今回は、そんな井上さんにこれまでのストーリーや仕事に対する思い、若手美容師さんたちへの熱い気持ちについて伺いました。

 


 

リスペクトするオーナーのもとで、新しい自分に

 

 

新卒で入社した前社には、10年間在籍していました。アシスタント期間は3年と、当時にしては早いデビューだったと思います。今でもそうなのですが、何かをすると決めたら必ず期限を設けるようにしているんですよね。スタイリストデビューのときも同じで、「3年本気でやってみて、無理だったら美容師は辞めよう」と考えていました。

モデルハントは主に渋谷のTSUTAYA前と原宿のラフォーレ前が主戦場。信号が変わって横断歩道を渡った人の波が来る度、必ず1回は声をかけると決めてやっていましたね。誰か見つけないと明日のカットモデルがいないという状況だったので、とにかく必死でした。嫌になることもありましたが、モデルハントは私の第一印象で話を聞いてくれるかどうかが決まるので、デビュー後にお客さまから関心を持ってもらえる人になるための成長のチャンスでもあると捉えていましたね。

 

 

自分のすべて――それこそ、プライベートの時間もすべて仕事に費やしたら3年でデビュ―という結果が出たので、当時の経験は今でも自信に繋がっているなと思います。

ただ、スタイリストになるとそれまで指導してくれていた教育担当の人は当然、次のアシスタントの教育に移ることになりますよね。その結果、デビューしたら急にひとりぽつんと放り出されたように感じてしまった時期があったんです。

「あれ? 私、これからどうすればいいんだろう」と戸惑っていたとき、いつも気にしてアドバイスをくれたのが前のサロンの先輩で現・Linerオーナーの(伊藤)恵一さんでした。私にとって、それは今でも覚えているくらいすごく印象的な出来事だったんです。

 

 

ありがたいことに、前社にいた10年間でたくさんのお客さまに支持いただきました。そんな恵まれた環境の中で30歳になって考えたのが、これからの新しい10年を迎えるにあたって、私自身をリブランディングしたいということ。30歳って、「今までよりちょっとゆっくりやろう」とか、「独立してオーナーになろう」とか、いろいろなことを考える年齢だと思います。そして私が描いた理想像は、生涯プレイヤー。ずっとお客さまとともにありたいと考えたときに、リスペクトする恵一さんのサロンで、新しい“井上カナ”として働きたいと思いました。

 

>ショートのレッスンを受け直し、美容師の喜びを改めて実感した

 

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