【LECOのセンス教育】支持されるデザインセンスの磨き方とデザインカラーの考え方

初回のカウンセリングで丁寧に分析し、3回先までプランニング

 

 

サロンワークでは、カウンセリングで差が出ます。美容師ならイエベ・ブルベなどの肌印象や女性分析像を考えているとは思いますが、LECOではどのようにしているのかをお伝えしますね。まずお客さまの肌を見て、「少し茶褐色だな」「白みがあるな」という肌分析を行い、どんなカラーが正解に近づくかを頭の中で整理します。そして来店時のファッションやメイクを踏まえながら、ペルソナ分析をします。そこから、ヘアデザインのディティール分析。レイヤーが入っているのか、切りっぱなしなのか、顔まわりはどうなっているか、髪質などをチェックして、髪のデザインや質感をコントロールしていきます。

 

 

次に、時流です。トレンドの要素も大事にしていて、ホワイトレベルでも「今ならまろやかな白がいいよね」とか、「ピンクならラベンダーに寄せた方が今っぽい」という”今”の気分を考えます。これについては、SNSでしっかりチェックするのも大事かなと思います。そして、本人が希望しているデザインを聞き、3回先までのプランニングをします。今はサスティナブルな時代ですし、今回がよくても次がだめなら意味がないので、毛先のダメージ状態を見て「今日は黒を生かしていこう」とか、「根元をグラデーションにしよう」とか。今後の色の展開の仕方をプランニングした上で、じゃあ1回目をやりましょう、というのを大事にしています。

 

 

 

そうすると、おのずと明度、彩度、色相が絞られてきます。同じカットデザインでも、色があることで印象を強めることもできれば、弱めることもできる。カットとカラーの掛け算でヘアデザインの領域は無限に広がります。色の組み合わせや配色、面積をどうするかで、ヘアデザインとして与える印象を自在に操ることができるんです。とくに『ENOG』は「デザインを楽しむ」をコンセプトに落とし込んだ商材で、オリジナルの自由なデザインを作れますから、より楽しくカラーデザインを施せると思います。

 

 

 

具体例を写真でひとつ挙げますが、これはブルーから黄緑にグラデーションしたデザイン。もともとダメージレベルが高かったのですが、本人がブリーチを希望されていたので、毛先から中間は弱めの薬剤ローブリーチをして、あえて黄ばみの残留を残して黄緑を入れました。根元は明度を上げて、ブルーに寄せてデザインしました。無理に全頭をブルーにすると毛先の黄ばみのコントロールを強いられますので、なるべくダメージがでないように考えて、黄色と相性のいいグリーンを入れることでデザインを成立させました。

 

近年はカラー特化型美容師がたくさん生まれていますが、今はSNSによる発信全盛期。お客さまはいろいろな投稿を見てシビアに取捨選択をして、一番プロフェッショナルで信用できそうな美容師に流れていきます。ちょっとでもさぼったり、「こんなものかな」で終わっている美容師は、たぶん一年後にはカラーで勝負できなくなるでしょう。さらに上を目指して日々のアップデートを続けている人が、今後人気の美容師になると思うので、僕らもアップデートは常に行っていきますよ。

 

 

プロフィール
内田 聡一郎(うちだ そういちろう)/『LECO』代表

神奈川県出身。原宿の人気店で、クリエイティブディレクターとしてサロンワークをはじめ、一般誌、業界誌、セミナー、ヘアショー、ヘアメイク、商品開発など様々な分野で活躍。2018年、サロン『LECO』を渋谷に立ち上げ、2020年『QUQU』、2021年『LECO öben』、2022年『LECO odd』を続々とオープン。2019年12月に始めた若手美容師にエールを送るsoucutsラジオも好評で、最新著書に「ウチダテク」(髪書房)がある。

@soucuts

 

(文/織田みゆき photo/泉山美代子)

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