キッズを泣かせない技術とは? apish樋口さんに聞くおしゃれママが喜ぶキッズカットの心得―読むレッスン
おしゃれ感度の高いママの増加に伴い、自分と同じサロンで子どもも切ってもらいたいと希望するお客さまが増えています。しかし子どもは接客方法から髪質まですべてが大人とは異なるもの。その対応に悪戦苦闘した経験のある美容師さんも多いのでは?
そんな悩みを解決すべく、今回は「apish」の樋口いづみ(ひぐちいづみ)さんの元へ伺いました。2ヵ月に1~2回程度のキッズ&ママズデイを設けるapishは、子連れには敷居が高いと思われがちな青山界隈の美容室で、“ママやキッズに優しいサロン”というイメージを確立した先駆け的存在。
子どもに心を開いてもらうコツや、接客において大切にしている点、髪型を決めるうえでのポイントなど、多くの“小さなお客さま”を抱える樋口さんならではのテクニックを伝授していただきました。
焦りは禁物! キッズカットは予約枠の時間に余裕を作る
お子さまは大人と違い、場所に慣れる時間が必要です。来店後すぐにカウンセリングをはじめるのではなく、まずは親御さんと待合イスに座ってもらい、空間に慣れてもらいます。いきなり話しかけてしまうと驚いてしまい、髪を切るのが嫌になってしまうこともありますから。なので、お客さまのペースで慣れていただくために、予約枠は長めにとっておくと安心です。
また、来店するお子さまは、「カットを楽しみにきてくれた子」「カットが嫌だけど連れてこられた子」「何もわからないままに連れてこられた子」の3パターン。本当にカットが嫌で泣いていたら、親御さんには事情を説明し後日改めてきていただくなど、待合室での様子を伺いながら、どんなお子さまなのかを見極めて対応を変えていきます。
子どもだって立派な一人のお客さま! カウンセリングでは子どもの意見を聞くこと
カウンセリングで1番大切なのは、親御さんではなく、お子さまに直接どんな髪型にしたいのかを最初に聞くこと。自分の意見にきちんと耳を傾け、尊重してくれるというのは子どもにとってもうれしいものなんです。自分の意見を聞いてもらえずに決められた髪型は大人だって嫌ですよね。もちろん親御さんの意見も大切にしますが、その子自身が気に入らなかったり、サロンに苦手意識を持ってしまったら確実に2度目の来店はありません。
また、子どもはまだ言葉から髪型をうまくイメージできないので、なりたいヘアスタイルをなかなか引き出せないこともあります。そんなときは雑誌を見せながら「このくらいの長さはどう?」などと明確なイメージを提示してあげると、お子さまも伝えやすくなります。緊張していて口数が少ない子も、この方法なら指差しで答えてくれることも多いんです。
親子の意見が一致しない場合もあります。よくあるのが、親御さんは「せっかく連れてきたんだからバッサリいきたい」と考えていても、それに対してお子さまが躊躇しているパターン。そういったときにもお子さまの意見を優先しつつ、「もう少し短く切ってもかわいいと思うよ?」などと提案しながら、親御さんとお子さまの双方が納得のいく着地点を見つけていきます。 親御さんにも「今、このくらいなら切ってもいいと言っているのですが、どうですか?」とお子さまの意見を伝えながら聞くと、大抵は「それでお願いします」と納得していただけます。
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