他のサロンと一緒じゃつまらない!? 異色であることの意味と価値とは?「あの人に会いたい」美容師×美容師の化学反応 第11回 whyte浜本忠勝さん×nanuk津崎伸二さん
津崎さんのようにサロンワークで作るスタイルがクリエイティブというのは理想の形(浜本)
浜本:僕はサロンワークもクリエイティブワークも好きなので、nanukや津崎さんの作るスタイルのようなサロンワークで作るスタイルがクリエイティブというのは理想の形だと思っているんです。自己満足じゃなく誰かのためになるとか、意味のあるもの・価値のあるもののために動きたいです。
津崎:サロンワークこそがリアルだし、それがすべてだと思っているよ。そこを華やいだものにするためにどうするべきなのかを常に考えているんだよね。期待して足を運んでくれた方を期待以上のものにするのが自分たちの役割だとしたら、どういう日々の行動があるのか? それを追求するのは決して楽ではないし、日々泣きながらサロンワークしているくらいだよ(笑)。「かわいくなれ〜(涙)!」って。そうして出来上がったものにめちゃくちゃ喜んでもらえた時だけ、自分もようやく少し笑顔でほっとできる。
浜本:津崎さんは小さいお子さんがいらっしゃいますが、お子さんを持ってから考え方が変わったこととかってありますか?
津崎:めっちゃめちゃある! 俺は、自分で美容師として食っていくと決めた時から、美容師としての価値を高めたいと思っていて、そこに自分の時間を使うのが普通、当たり前と思って生きてきたの。「美容師たるものこうでなきゃ」っていう思いもめちゃくちゃ強くて、自分がコンプレックスの塊で弱い人間だったから、「人間努力すればなんでもできるのに、なんでやらないの?」って思っていたけど、いろんな人がいるんだよね。
いろんな人がいて、大切なものも違うし、大切な時間も違う。でもその大切なもののために頑張っているっていうのが子どもを持って始めてわかった。やりたいヘアスタイルがあっても時間がなくてできないっていうのがリアルなんだってようやく気がついたの。
ファッションは着替えることができるけど、髪の毛は人から生えているから、よりその人自身の素材やライフワークと密接。そうした人にもっと寄り添えるヘアスタイルを提案してきたい。
浜本:今日はありがとうございました。貴重なお話がたくさん聞けました。
津崎:いえいえ! 俺たちもう仲良しだよ! 今度また飲みにこう!
プロフィール
whyte
代表/浜本忠勝(はまもと ただかつ)
神奈川県出身。国際文化理容美容専門学校渋谷校卒業後、都内のサロンに就職。2017年12月よりフリーランスで活動を開始。2018年8月に「whyte」をオープン。国際ヴィーガンビューティー協会を立ち上げ、同協会の会長も務める。
nanuk
代表/津崎伸二(つざき しんじ)
東京都出身。山野美容専門学校卒業。都内2店舗を経て、佐野正人さんと共に2014年1月『nanuk(ナヌーク)』をオープン。外国人風の柔らかなヌケ感があるスタイルを得意とし、渋谷店と二子玉川店を行き来する多忙なスタイリスト。そのスタイルで業界内外から常に注目を集める。
(取材・文/須川奈津江 撮影/菊池 麻美)