表参道と湘南、場所は違っても美容師の本質は同じだ! 「あの人に会いたい」美容師×美容師の化学反応 第7回Arouse SHONAN松浦 裕哉さん×SHEA.坂狩トモタカさん
「大事なのは、限られた人生の中でどれだけ笑顔でいたか」(坂狩)
坂狩:僕は、一番大事なのって、限られた人生の中で、どれだけ笑顔でいたか、楽しんだのかっていうところだと思う。でも、ときどき本当にそのことを信じられているのかわからなくなることもある。だから会社をつくってよかった。個人だと、個人としての高みを目指す、心の豊かさを得るためにチャレンジするっていう考え方になりがち。でも、組織を持ったら、迷ったときに原点に立ち戻ることができる。
松浦:会社としての価値観を大事にしているってことだね。僕も表参道や銀座で経験を積んだからこそ、価値観の違いを意識していて。僕の時代は、メディアにたくさん出て、美容師として一旗揚げることが目標みたいなところがあった。でも、地方では別にメディアに出ることがいいとは思っていない。たとえば、美容師という仕事があって、残りの時間を自由に過ごすことが幸せだったりする。それはそれでいいんだけれど、お客さまをきれいにする、笑顔にするっていう美容室の本質からズレてしまうと、なあなあになってしまうので。美容師もやるし、好きなことにも一生懸命打ち込める。家族をもって、家族との時間もとれる。それが自分にとっての幸せなんだけど、みんな美容師として根っこにあるものは同じなんですよ、表現方法が違うだけで。
坂狩:売上が高ければ偉いわけでもないし、コンテストで優勝すれば上手いかといったら、それだけじゃないし。虚栄心とか、承認欲求が美容師の邪魔をする。本当の幸せを見えにくくしていると思う。僕の幸せというか、これからもっとやっていきたいのはスタッフのチャンスを作ること。この1年、もっとチャンスをつくることができたんじゃないかなって思う。今は自分のことより、そっちを優先したい。パーマのカルチャーをつくりたいって言うのはあったけれど…
松浦:いやいや、もうつくっているじゃない(笑)。本も出しているし。
坂狩:本を出すことよりも、もっと違うフェーズを目指したいというか。経営者としてもっとできることがあっただろうなっていう反省があるんだよね。
「『美容師って楽しいよね』っていうのを湘南から発信したい」(松浦)
松浦:僕はアフロートの松浦さんと思われたくない。ブランドに守られたくないと思っていて。もっともっと自由に「美容師って楽しいよね」っていうのを湘南から伝えられる人になりたい。これまで、美容業界のいろいろなところを見せてもらったし、経験も積ませてもらったから、独立願望もある。クリエイティブなヘアスタイルやデザインで勝負できるタイプではないけれど、本当にお客さまをかわいくして帰すことや、美容師を楽しむ姿を見せていきたい。
坂狩:それはめっちゃ大事。ところで、マツさんはもう1回、湘南じゃなくて、都心で働くことになったらどうする?
松浦:すごい難しい質問! どうなっちゃうんだろう…でも多分、こっちで生き残る術を探ると思う。
坂狩:ギアチェンジンジするんだ。
松浦:そう。湘南ではライフスタイルの幸せを重視していたけれど、こっちだったらバリバリの仕事人間になる可能性が高いかな。湘南に行ってからも、表参道や銀座に残っていたらどうなっていたんだろうってふと思うことがあるんですよ。「あのまま残っていたら、このステージに自分も立っていたかも」とか感じて、正直、悔しいなって思うこともある。でもその分、サーフィンしてから出勤して、家族を大切にして、美容師としても一生懸命やる幸せを噛みしめているからね。
坂狩:仮に僕が湘南で働くとしたら…サーフィンをしたいな(笑)。もちろん、その地域の文化を学ばないといけないと思う。それはお客さまについてだったり、働く人の価値観だったりするんだけど、基本的にはやるべきことって変わらないよね。お客さまにハッピーになってもらうためにやるだけ。とにかくね、湘南で働いていることをいいまくると思うよ。めっちゃ楽しいって(笑)。
松浦:そうだね、ガリさんはどこに行っても、そうやって自分の生かし方を見つけると思う。今日はいろいろ聞けてよかったです。ありがとう。
プロフィール
AFLOAT SHONAN
松浦 裕哉(まつうらゆうや)
山口県出身、山口理容美容専修学校卒業。K-two入社後、独自の小顔理論を確立し、世の女性からの支持を集める。業界誌・一般誌の撮影の経験も豊富。セミナー講師の顔も持つ。k-two銀座店の店長、ディレクターなどの要職を務めたのち、Arouse by afloat Sea sideへ。現在は、AFLOAT SHONANで店舗運営や人材育成を担っている。
プロフィール
SHEA.
代表/坂狩トモタカ
福岡県出身。資生堂美容専門学校卒。都内1店舗を経て、AnZieへ入社。AnZieで代表を務めたのち、2018年9月にSHEA.をオープン。年間50本以上のセミナーをこなすことで業界から注目を集め、一般紙や業界氏からのオファーも絶えない。著書に『#毛先だけパーマ』(エイ出版社)など。