表参道と湘南、場所は違っても美容師の本質は同じだ! 「あの人に会いたい」美容師×美容師の化学反応 第7回Arouse SHONAN松浦 裕哉さん×SHEA.坂狩トモタカさん
「美容師は自分に関わる全ての人をハッピーにする仕事だと思う」(松浦)
松浦:それにしても、ガリさんのことを悪く言う人って、どこにもいないよね。ガリさんみたいにいろんなメーカーさんと仕事できるのって、人徳があるからだと思う。
坂狩:どうなのかな。メーカーさんの仕事でも、撮影でも全部そうだけど、立ち位置は一緒だね。その時代にあったものを表現するために、ベストを尽くす。自分のためではなく、相手のために全力を尽くす。あとは、いろいろなメーカーさんから仕事をいただいているんだけど、その都度ほかのメーカーさんにお伺いを立てている。「やってもいいですか?」って。
松浦:筋を通しているんだね。
坂狩:そう、矛盾はなくしたいと思っていて。あとは、一つひとつの仕事を大切に、全力でやるっていうのは変わらない。仕事を流すようなことはしないんで。全部、自分の中で納得できるところまでやる。経営者になってからも悩みましたよ。自分の中の経営ってどういうことなんだろうって。自分の経験の中でみつけた、自分の言葉で話すことを大切にしているから。でもさ、裏ではあることないこと言われることもあるよ、僕も。ただ、話題にされるのはありがたいなと。実は僕のこと好きなのかなって思ってる。
松浦:ポジティブだ(笑)。
坂狩:いろいろ言われて悶々としたこともあるけど、ぶつかってもしょうがないし。それにいちいち反応していたら、ちっちぇーな自分って思いますね。マツさんのほうこそ、愛されているじゃないの?
松浦:いやいや、僕はそんなことないから。
坂狩:マツさんは、考え方が本質的だと思う。僕の勝手な分析だと、自分に対して正直だし、それに対してきちんと責任を持ってやっているって思う。
松浦:たしかに、自分に嘘はついてないね。美容師って、自分に関わる人すべてハッピーじゃないと、幸せになれない仕事だと僕は思っていて。「今日は松浦さんと話したけれどおもしろくなかったね」とか思われるのが一番つらい。だからいつも、相手のことを考えて行動しています。たとえば、牛丼屋さんで食事をするときも、店員さんにきちんと挨拶するし、食べ終えたら食器を下げやすいように置いておく。コンビニの店員さんにもきちんと挨拶する。こういう習慣って必ず自分に帰ってくると思うんだよね。
「一番やりたいことは、マツさんたちが湘南でやっていることかもしれない」(坂狩)
松浦:ガリさんの経営についての考え方も聞いてみたいな。
坂狩:僕が本当にやりたいことは、マツさんたちが湘南でやっているようなこともしれない。たとえば、マツさんの所にいけば、目の前に広がる海の話ができるわけで。しかも、マツさんはサーファーでしょ。サーファーだけでもカッコいいけれど、美容師という軸があるから強い。生き方の多様性が広がっているように、美容室もいろんな意味で進化していかないといけない。みんなにも、美容師の枠を越えないといけないよ、という話はしています。
松浦:今、サロンを経営していく上で、ガリさんの頭の中にはどんなテーマがあるの?
坂狩:心地よい暮らしと髪と人っていうのがテーマ。ちょっとおしゃれな服を着たり、髪型を変えたりするだけで、心地よくなるじゃないですか。デザインって素晴らしいなって思うのは、何もないところからハッピーを生み出すところ。そんな心地よさを生み出すような感性を、SHEAから発信していきたい。
松浦:みんなで作っていくと。
坂狩:そう、みんなで構築していく。僕は一過性のものより、普遍的なものが好きなので、時間をかけて積み上げていきたい。経営って孤独で、上手くいっているときも不安になる。そんなときは、SHEAのテーマに立ち戻って、実現のために何をすべきか考える。マツさんはサロンの運営についてどんな風に考えているの?
松浦:湘南といっても地方なので、表参道と比べるとスタッフの考え方も違うんだよね。バリバリやりたいという人はあまりいないかもしれない。だからこそ僕は、表参道や銀座で培ってきた美容師としての軸をブラさずにいたいなと。サーフィンをするし、家族も大切にするけれど、ちゃんとプライドを持ってお客さまをきれいにできるところを見せていきたい。
>「大事なのは、限られた人生の中でどれだけ笑顔でいたか」(坂狩)