感覚派美容師と理論派美容師、正反対の二人が出会ったら…? 「あの人に会いたい」美容師×美容師の化学反応 第6回Belle omotesando藤原愛莉さん×DADA CuBiC永江浩之さん
「説明を加えることでヘアスタイルの価値があがることもある」(永江)
藤原:永江さんは、どんなお客さまが多いですか。
永江:幅広いですが、30代後半から40代くらいのお客さまで「変わりたい」と思っているかたが多いですね。
藤原:結構、大胆に切るイメージがあります。
永江:そうかもしれないですね。昔は「こうしたほうが似合う」と思って自分から提案することも多かったんですけれど、最近はお客さまがどうなりたいと思っているのかを深く考えるようにしています。相手の価値観に合わせた上で、提案するスタイルの価値が上がるように説明をするんです。言葉で説明することで、その必要性を感じていただけることもあるから、相手によって言葉を選んで伝えていますね。
藤原:どんな説明をするんですか?
永江:例えば3つくらい幅をもたせた提案をした上で「ここまで切るとちょっと攻めていますけれど、これまでとちがう洋服も似合うようになりますよ」とか、「骨格や顔立ちがとても魅力的だからその魅力がもっと活かせますよ」とか、伝え方はその時々で違いますけれど。そうすると、一歩踏み出したい人の気持ちが動きやすくなることもあります。
藤原:たしかに、一歩踏み出してみようかなって思いますよね。私のお客さまは、中学生から同年代くらいが多いんです。すごく若いんですよ。
永江:それって素敵なことじゃないですか? 最近の傾向として、若い子たちはInstagramやYouTubeで注目されていて、リーズナブルな価格のサロンに惹かれやすいのかなと思うんですけれど、それでも愛莉さんに切ってほしいっていうのすごいですよ。
藤原:本当に若いお客さまばっかりで、40代のお客さまから新規指名をいただいたりすると、「オーナーと間違ってるかも」って思って予約を確認するくらいです。中学生のお客さまと何を話していいのかわからなくて「夏休みどうだった?」とか「部活は何しているの?」とか、そんな話をしています。
永江:そうなりますよね(笑)。でも、その子たちは憧れの人に切ってもらいたくてきているんですよ。すごいな、人生を変えているかもしれないですね。
藤原:変わりたい大人の女性って多いんですか?
永江:年齢に関わらず、女性には変わりたい気持ちがあるんじゃないかな。70代のおばあちゃんもいますよ。いくつになっても女の人はきれいでありたいんだなって思って、うれしくなります。僕は、変わりたいっていう気持ちに応えたいと思うし、技術とかデザインはそれを実現するために使っているだけなんですよね。人生経験とかお客さまのバックグラウンドを想像する力とか、技術を使う前の段階が大事だなって思います。