ニューヨークの美容師ってどんな風に働いているの? 「あの人に会いたい」美容師×美容師の化学反応 第5回FILMS若林紀元さん×Frederic Fekkai荒川智大さん
「最初、『君はテーラーではなくデザイナーだから』って言われたんだ」(荒川さん)
荒川:少ししか切るつもりがないって言っていても、お客さまに似合うスタイルを提案して、バッサリ切ることもあるよ。ニューヨークにきて最初のころ、オーナーから「君はテーラーではなくデザイナーだから。1㎝切ってほしいと言われて1㎝切るのが仕事じゃないよ」って言われたことがあって。その人に合わせてデザインするのが、美容師の仕事なんだってあらためて教えてもらった。これは表参道の美容師も同じじゃないの?
若林:そうだね。提案を求めてくるお客さまが多いし、一線で活躍している美容師は提案型が多いかな。
荒川:今の表参道がどうかわからないけれど、きちんとデザインができる美容師のカット料金はもっと上げたほうがいいよね。
若林:荒川くんのサロンのカット料金ってどんな感じ?
荒川:みんなバラバラだけど、オーナーは8万円くらい。ニューヨークではハイエンドサロンのスタイリストカット料金は平均1万~2万ぐらいになるんじゃないかな。反面、極端に安いサロンもあるから全体では4千~5千円lぐらいが平均だと思う。日本はどう?
若林:日本でも2万円、3万円の人はいるけど、それより高い人はどっちかっていうと話題作りの要素が大きい気がする。カット料金の中央値は昔と変わっていないかも。
若林:この前、インドで髪を切ったりしていたでしょ? アスリートに呼ばれて欧米で髪を切る話は聞いたことあるけれど、アジアから呼ばれた話は珍しいなと思った。
荒川:インドの国民的な女優さんが、がんの治療でニューヨークにきていたとき、僕がカットしていたんだよ。すごくきれいなロングを何度か切らせてもらって、どんどん短いショートにしていって。最後は抗がん剤の影響で髪が抜け落ちてしまったんだけれど、元気になってまた髪が生えてきたら髪を切る約束をして、それでインドに行ったんだよ。女優さんとその周りの人たちの髪を切らせてもらった。
若林:素敵な話だね。ニューヨークは夢があるよね。
>「FILMSの社員旅行はラオス。現地で子どもたちの髪を切ったんだ」(若林さん)