ニューヨークの美容師ってどんな風に働いているの? 「あの人に会いたい」美容師×美容師の化学反応 第5回FILMS若林紀元さん×Frederic Fekkai荒川智大さん
美容師同士だから語れることがある。美容師だから分かり合えることがある。しかし、話したい美容師さんはいるけれど、売れっ子ともなると忙しくてゆっくり話す機会がないという人も多いのでは? そこでQJナビDAILY編集部が、美容師さんが好きなテーマで語り合う対談の機会をつくりました。第5回はFILMSの若林紀元(わかばやしのりもと)さんとニューヨークの高級サロンFrederic Fekkaiで活躍している荒川智大(あらかわともひろ)さん。アシスタント時代に一緒に働いていたというお二人に久しぶりに、ゆっくりお話ししていただきました。ニューヨークの美容師事情が垣間見える対談です。海外で働くことに興味があるかたはぜひご覧ください。
「いずれニューヨークを目指すのならば、最初から行こうと思った」(荒川さん)
若林:僕は荒川くんの数カ月遅れでZACCに入ったんだよね。大型店だからサロンを回すのが大変だったんだけれど、荒川くんは要領よくこなしていたイメージがある。
荒川:若林くんが中途で入ってきたとき、「熱いヤツがきたな」って思ったよ。一応、僕のほうが先に入っていたわけだし、追い越されたくなくて内心焦っていた。
若林:でも、荒川くんのほうがスタイリストデビューがずいぶん早かったじゃない。
荒川:一応、3年目でデビューしたのかな。
若林:そのころからニューヨークに行くって話を聞いたことがある。なんでなんだろうって思っていたけれど。
荒川:21歳のときにニューヨークに行ったことがきっかけだね。それまで美容の本場と言えば、パリやロンドンのイメージだったけれど、世界で一番カット料金が高い美容師はニューヨークにいる。実際、現地で活躍している美容師さんから、パリやロンドンで活躍した人が最終的にニューヨークで勝負しているって聞いたので、「じゃあ海外に行くなら最初からニューヨークに行ったほうが早い」って思ったんだよね。
若林:25歳で海外に行くのは決めていたの?
荒川:ちょうど選択肢が目の前に出てきたタイミングだったんだよね。サロンに残る、独立する、転職する…で、いろいろ考えたなかで一番おもしろそうだったのは海外だった。
若林:日本での仕事に未練はなかったの?
荒川:僕は田舎から有名な美容師になることを目指して上京した。表参道でお客さまをとれる美容師になることができたし、昔から雑誌に出るのが目標だったんだけど、それも叶ったし。もちろん、トップクラスの人たちと比べたらまだまだだったけれど、ひとまず目標はクリアできたので、次はどうしようかなと思っていたんだよね。
若林:僕はそのころはまだスタイリストじゃなかったからね。立場は違ったけれど、お互い上を目指していこうという話をしたのを覚えているよ。それにしても、いきなりニューヨークに飛ぶその行動力は恐れ入るよ。
荒川:実際のところ、最初は着の身着のままニューヨークに行った感じ。それからビザをとって、ライセンスとって…準備に半年くらいかかったかな。
若林:英語は話せたの?
荒川:いや、話せなかった。向こうで勉強したよ。美容の技術もイチから積み上げないといけない部分がたくさんあったから、半年間、毎日練習していた。
>「東京とニューヨーク、美容師の仕事はどう違う?」(若林さん)