奥が深すぎて語り切れない「2.5Dヘアの世界」 「あの人に会いたい」美容師×美容師の化学反応 第3回LECO内田聡一郎さん×Wille志賀尚之さん
「特化の時代、好きと仕事がリンクしている志賀さんはすごい」(内田)
志賀:ウチの場合、お客さんの求めるものが全然違うから、僕のサロンはフロアを2つにわけて、片方は2.5Dに特化しています。
内田:サロンにアニソンがかかっているんだよね。
志賀:待ち時間も漫画がずらーっとあるのでそれを読んでいただいたりとか。声優雑誌もありますし。とにかくお客さんにとって心地よい空間と、お互いが納得するようなカウンセリングができれば、あとはもう楽しんでもらえばいいかなって思っています。
内田:スタッフは全員アニメ好きなの?
志賀:全員じゃないです。
内田:だから2フロアなんだ。
志賀:途中から完全に分けました。ビジネスとして2.5Dは可能性を秘めているかもしれないけれど、採用や集客を考えたら受け皿は広くしたほうがいいと考えたんです。
内田:今って、「特化の時代」じゃないですか。自分の好きがちゃんと仕事とリンクしている人って意外といないと思うから、それができている志賀さんはめちゃくちゃいいと思う。一方で、仕事にしたことで嫌いになっちゃわないかなっていう心配もある。
志賀:仕事と趣味の境目が曖昧になっていますしね。
内田:俺は仕事にし過ぎたことがある。アニソンDJもちょこちょこやっているから、アニソンDJのためにアニメを見るみたいな、逆説的な行動になってる。
志賀:それはあるかもしれないな~。
内田:忙しいとアニメも見られないじゃない。で、全然見られてない状況の中で、このキャラクターのこの色は使えるっていう発想になりがちだと思うんだよね。
志賀:そうですね。
内田:本編をちゃんと見ていないけれど、軽く流しただけで見た体(てい)にするとかありそうだなと思って。俺がアニソンDJをしたときにそうなっちゃったことがあったから。「あいつ、あのキャラクターへの愛がないのに、キャラソンかけてんじゃねーぞ」みたいなことを思っていた人もいるだろうし…自分に対する背徳感もあったりした。
志賀:お客さんの作品の好みも結構違うから、勉強しなきゃっていう発想にはなりますね。
内田:俺のお客さんにもアニメ好きなかたがいるんだけれど、「え、その情報も知らないの?」みたいなニュアンスを出されることがあるんですよ。その怖さがすごくあった。「こいつヌルいな」ってなるとヒエラルキーができちゃう。
志賀:その状況をつくりたくないのでめちゃくちゃ勉強しています。
内田:そっか。とくに自分から発信したものに対するものはめちゃくちゃ掘るんだね。
志賀:はい、めちゃくちゃ掘りますね。すべての作品を網羅するのは無理だけれど、知識量があればいいと思います。例えば、アニメの監督や制作会社、声優さんなど、その作品をつくっているバックボーンみたいなものを押さえておくと、全体像が見えてくるんですね。それがあれば割と話はできます。
内田:たしかに。見ていなかったとしてもカバーできるね。
志賀:お客さんの好きな作品の監督が、ほかには何をつくっていたのかなど、派生した情報までもっていると「おっ!」ってなるんです。
内田:情報のマウント合戦みたいなの、あるね(笑)。
志賀:最近ではK-POP好きなお客さまも多いので、勉強しています。接客業としては当たり前かな、という感覚です。
内田:それが大変にならないようにしたいね。
志賀:あとはアニメや声優さんの場合、シーズンごとにイベントがあるじゃないですか。ライブとか。それに合わせてお客さんがくるから、イベントを睨んで準備していますね。
内田:年間スケジュールもちゃんと押さえているんだね。
志賀:毎週、何かしらのイベントがあるので、月初めに月間のスケジュールを調べるんですよ。
>「好きな声優さんがサロンにきたら動揺を隠しきれない」(志賀さん)