過去5年で最高の瞬間なんてない。毎日、過去最高を更新しているから! 「あの人に会いたい」美容師×美容師の化学反応 第1回SHACHUみやちのりよしさん×MORIYOSHIさん(前編)

二人で月間売上100万円!?資金ショート寸前からの飛躍

 

 

みやち:いろんなメーカーのカラー剤を試したり、ウィッグで実験したりっていうのは暇だったからできたことでもあるよね。2人で100万円くらいの売上しかなかった。なのにオープン2カ月目くらいでMANAMIちゃんが入りたいといってきたんだよね。「サロンとちゃんと話し合ってからにしたほうがいいよ」ってアドバイスして、僕は半年後くらいに辞めるのかなと思ったら、次にきたときにはもう辞めていた。採用しないわけにはいかないから、入ってもらったんだけれど、我ながらあのときの勇気はすごかったと思うよ。

 

MORIYOSHI:いや、本当にそうだよね。

 

みやち:俺のなかでは、1日に卵かけごはん2杯食えればいいと思っていたから。それが成立しなくなったらやばい。だからギリギリまで挑戦できた。

 

経営的にも甘くて、運転資金が足りなくなりそうなこともあった。口座に数万円しかなくて、そのタイミングで材料費などを引かれていたらアウト。ギリギリセーフだったから、みんなを集めて「今回はギリセーフだったけど次はアウトです。お願いだから友達を呼んで」ってお願いして。でもそこからずっと右肩上がりだからね。

 

MORIYOSHI:最初から頑張っていたけれど、すぐに結果は出ないものなんだよね。

 

みやち:まあ、SHACHUは、お金の使い方や人の雇い方がバグっていたのもあるけど(笑)。ありがたいことに、最初のころから新規のリピート率が80%で、既存のお客さんもいれると90%くらいだったから、ほとんどリターンしてくれてた。それにプラスして紹介や口コミもあったからね。「今日の色、かわいいね。友達にもやりたい子がいるんじゃない?」とか言って、名刺を渡してお願いしていたのもあるけど。とにかく、あの時期のピンチを乗り越えてこそのSHACHUっていう感じはあるよね。 

 

みやちのりよしを漫画にたとえるなら『ONE PIECE』のルフィ

 

 

MORIYOSHI:みやちのすごいところは、やっぱり、スタッフを輝かせる力だね。言葉が生きているというか、言葉が人を生かすというか、言った通りのことが起こる。『ONE PIECE』のルフィみたいに、人を惹きつけて、どんどん仲間にしちゃう。

 

みやち:美容師として当たり前のことをしているだけなんだよね。たとえば、お客さんの髪を切るときも、この子はこの髪型が似合う、このバランスがカワイイとかあるじゃない。スタッフに対しても同じで、このスタッフには接客が向いているとか、光るものが見える。

 

だから、僕は人と意見が合わないことが多い。100人が「あの子はダメだよ」と言っていたとしても、「あの子は悪くないし、要領がよくないだけ。あんな笑顔が素敵な子はいないよ」って本気で思える。そもそもパーフェクトな人なんていないんだからさ。

 

MORIYOSHI:この業界で輝く人って、イケメンだとか、手先が器用だとかじゃなくて、もっと人としての奥行きがある人だよね。

 

みやち:素直に謝れるとか、そういう基本的なところが大事なんだよ。サロンワークを楽しみつつ、ヘアデザインと撮影にも没頭して、自分のエゴじゃないお客さんが求めたものを売れるようになってくれる人がいい。アーティスト肌でもいいけれど、最低限の対応力は必要。

 

MORIYOSHI:僕は元気で明るい子だったらそれだけで見どころあるかなって思う。技術はあとからなんとかなるけれど、人間性の部分はなかなか変わらないから。

 

みやち:センスって知識と経験から生まれるものだから。だって、高校生のときは誰もカラー塗れないでしょ。センスどころの話じゃない。自転車だって同じで最初から乗れる人はいないけれど、今は何も考えなくても乗れる。努力はセンスを超えるんだよ。

 

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プロフィール
CEO/みやち のりよしさん

岐阜県生まれ。2014年4月、渋谷にSHACHUを設立。2016年12月にはSHACHU -SHIBUYA JINNAN-をオープンさせる。グラデーション・ハイライト・デザインカラーなどを用いたハイトーンカラーが圧倒的な支持を集めている。2018年3月、女性モード社より『SHACHU 秘伝のヘアレシピ』を出版。サロンワークに加え、国内外のセミナー、ヘアショー、ヘアメイクと幅広く活躍中。新しいデザイン、新しい美容師の生き方を提案する、若手美容師のあこがれの的。

SHACHU✂︎official instagram

 

プロフィール
MORIYOSHIさん

美容専門学校卒業後、有名サロンにつとめるも数カ月で退職し、美術館勤務やフラワーショップ勤務など職を転々とする。美容師に復帰後、SHACHUの立ち上げから参画。柔軟な発想から生まれるオリジナルカラーが人気。ファッション感度も非常に高く、口コミによりアパレル業界や芸能業界からの指名が多い。

 

(文/外山  武史  撮影/菊池 麻美)

 

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