【名古屋の赤ペン先生初登場】コロナ禍にブレイク『住吉塾』会員数は1200人超え。住吉望の波瀾万丈物語・前編
美容業界は、教育すると稼げないビジネスモデル!?
カットが好きでしたし、なによりカットを教えることが好きでした。転職するにあたっては、チェーン店の教育担当の職を求めて求人を探したんです。求人の会社にも、話を聞きに行きました。そしたら、そんな求人は1件もなかったんですよね。そこで痛感したのが、この業界に教育に特化した仕事はない、ということでした。
手当も出ないし、後輩にいくら熱心に教えても、そこには生産性がない。しかも、教育を頑張ったら後輩のデビューが早まり、そのぶんライバルが増える。教育を頑張ると、自分の売上が減るのが美容室のビジネスモデルなんだと悟りましたね。頑張ったらマイナスになるから、誰も本気でやろうとしない。ちゃんと教えてもらえる美容室のほうが少ないのは、そのせいなんですよね。僕には妻も子供もいたので、手取りが増える方がいいなと思い、次の職場には業務委託サロンを選びました。
カットの技術には、確固たる自信がありました。ただ、それまでずっと40代オーバーの世代を切っていたので、その年齢層を綺麗に切る自信はあったんですけど、新しい職場の客層はほぼ20代。それまで流行りのスタイルを切ったことがなかったので、できあがりが今ひとつ自分の中で合点がいかない時期がしばらく続きましたね。デザインを読み取り、それを作るデザイン力が育っていなかったんだと思います。
(後編に続く)
- プロフィール
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住吉 望(すみよしのぞむ)
『invitation 栄』トップスタイリスト
1986年、千葉県生まれ。千葉美容専門学校を卒業後、全国展開する大手サロンに就職。岐阜店に配属され、名古屋や四日市などを異動しながら最終的に中部エリアの教育ディレクターも兼任。その後、名古屋の業務委託サロン1店舗を経て現職。2019年より業界初のカット専門オンラインサロン『住吉カット塾』を主宰し、会員数は現在1200人超え。インスタでカットを添削する「赤ペン先生」も人気を博している。
@sumiyoshi_nozomu
(文/織田みゆき photo/佐藤陣)