リピート率95%、予約は1年先まで埋まるサロン。奇跡を実現するichiオーナーが語る“業界思考にとらわれない”サロンブランディング論
技術ではなく、ヘアデザインとライフスタイルのプランニングに料金をいただく
-『ichi』さんは技術料の他に「トータルデザインフィー」をいただいているそうですが、トータルデザインフィーとはなんですか?
『ichi』で提供しているのは技術だけではなく、お客さまが日常を美しく過ごすためのプランニングデザインへの対価です。アシストが行うケアも含めたすべてがそのデザインであり、デザイナーはプラン設計の責任者。そういう意味を込めて、最大30%のトータルデザインフィーをいただく形をとっています。たとえば20,000円の施術プランの場合は、最大30%のデザインフィーを含んだ、26,000円+税とさせていただいています。
もちろんこれはお客さまとの信頼関係があってはじめて成立するものです。トータルデザインフィーを設定したことで、サロンコンセプトに対するお客さまの理解が高まったという実感があります。またどこの価値に対して料金をいただいているのかという認識を、お互いに共有できるという利点もありました。
-業界で初の試みだったとのことですが、石井さんはどこからヒントを得たのですか?
美容業は価値観と目的の方向性が多彩になっているにも関わらず、価格イメージが比較的固定されてしまっている印象に矛盾を感じていました。でも単に技術料を上げることには違和感があったんです。そこで着目したのがホテルやレストランのサービス料でした。
ホスピタリティの行き届いた高級ホテルやレストランでは、サービス料が上乗せされるのが普通ですよね。お客さまも当然のようにサービス料を支払っていると思います。これに近いことが、美容でも応用できるのではと考えたのです。
僕は若い頃から日常的に異業種を研究したり、海外へ視察に行ったりしていました。素晴らしい会社やシステムに出会ったら、僕らに取り入れるならどう変換したらいいんだろうと常に考え、経営の糧にしてきました。トータルデザインフィーも、その成果のひとつです。
若い頃から何度も読み返しているという石井さんおすすめの本。読書も自分の課題や問題意識と照らし合わせながら読んでいく