「お客さまからもらうワードからイメージを膨らませ、ベストカットをするのが大好き!」-穂高律子のニューヨーク美容師コラム Vol.7-
まずJordan。
彼はもう半年くらい毎月来てくれているお客さまです。とても気さくで、私が本当に全然英語を話せない時から、頑張って理解して聞いてくれようとした、とってもいい方です(泣笑)。
昔少し日本に住んでいたこともあるので、日本のことも好きな彼。
ヘアスタイルはというと、彼は、サイドとバックは短めに、トップは少し整える程度がいつものオーダーです。最近は髪型というより、最近何があったとか、今度のholidayは何するの?とかの話ばかりなのですが、その時間が楽しいです。
メンズのカットでジョーダンのように、あまり刈り上げまでしないくらいの長さを求めてくる人は多いです。なんでもかんでも、横と後ろは刈り上げればいいもんでもないということを学びました。日本のツーブロックみたいな雰囲気はニューヨークではあまりないです。 ラインを出すくらい刈り上げをかなり短くするか、刈り上げないくらいで馴染ませる長さか、トップにいくにつれてわざと角ばらせるかんじの刈り上げ、など、好みもさまざまです。
彼女はKeylin。
ニューヨークにきてから、アジア人以外の人種の人にデジタルパーマをしたのは彼女が初めてでした。彼女はベネヅェラ出身で、少しアジア人に似てハリのある髪質。外国人の髪質には2タイプあり、細い髪の質と、意外とアジア人並みにハリのあるしっかりとした髪質。
髪が明るく見えるだけで、コスメのような弱い薬をチョイスしてしまうとパーマがかからなかったり、反応が甘かったりします。白人がウェーブのパーマをすることはほとんどないのですが、彼女のように少し南米系だと、どんなに髪が明るくても、アジア人のバージンヘアと同じくらいの薬の設定をしないとかかりません。
逆に、ストレートなどをする際、クセがとても強いからといって、一番強い薬などを白人に塗ってしまうとかえって、過軟化させすぎてしまうことがあります。アシスタントの時、白人のストレートをやったことが何回かあり、そのおかげで経験が知識として入っていたので、こちらにきた時、経験しておいて本当によかったなと思いました。
やはりひとつひとつ全ての経験はつながっていくものだなと思います。
日本とニューヨークでのデジタルパーマの違いなのですが、日本人はカールを好みますが、こちらの人は毛先のカールを好みません。中間だけにリッジやウェーブが欲しいので、その加減も難しいです。
私もどこまで求めるものへ近づけれるか、少し探り探りでやったのですが、イメージ通りかかり、彼女も喜んでくれたのでよかったです。
彼女はmandeline。
スタイルはいたって普通のオーダーで、トリムでいいくらいと言うので、少し切ってレイヤーを入れて、毛量調節しよう! となり、シャンプーをはじめてみました。
でも、そのシャンプーをしている時に、最後切ったのいつ?とかどんなスタイルだったのー?とか色々話してみると、以前はすごく長くて、それをドネーション(髪の毛の寄付)したのという話になり、また半年くらいしたら、ドネーションしたいのって言ってくれたので、シャンプーが終わり、改めて鏡の前で髪型を提案し直してみました。
さっきとは違い、あまりレイヤーは入れすぎず、ドネーションする時、綺麗な束でまとめれるようにしていこうと提案しました。セニングも一切いれず、グラデーションでテクスチャーを作りました。彼女は私の提案と仕上がりにとても大満足してくれました。
彼女と話していて、日本はあまりドネーション文化がない。色々カラーやパーマをするから、キレイなバージンヘアはあまりいないかなと言うと、びっくりしていました(笑)。
そして、もちろんアジア人もきます。彼女はHelena。
友達の付き添いでいつもきていて、なぜか私が切ったことはなかったのにたくさん友達を紹介してくれました(笑)。
いつも付き添いでくるたびに、私も早く切りたいと相談をうけていたのですが、前髪がイメージの長さではなかったので、伸びるまで頑張ろうと夏くらいから話していて、最近ようやくカットできました。パーマもかけ、とてもいいかんじに変身。すごく気に入ってくれました。彼女は感覚が日本人に似ていて、少しmessyなウェーブやハネるかんじはオシャレで好きと言ってくれたのでやりやすかったのですが、ほとんどのアジア人は日本人のように、少し外にハネるかんじとかが好きではなく、日本人の感覚でオシャレっぽくハネたりさせると、内側にして欲しいとよく言われます(笑)。 持ってきた写真が外国人のハネた写真だったはずなのに、それにすると嫌がるので不思議です。そこが同じ写真を見て、いいなと思うポイントが違うということです。なので、スタイリングもそれぞれの国の好みを少し意識して、スタイリングするようにしています。
彼はpeter。
私が切った子の紹介できてくれました。スコティッシュなので、赤毛がすごく素敵な彼。やりたい髪型まで長さが足りないけど、満足してくれて、これからlittle by little で伸ばしていこうねと話しました。ルームメイトだったり、学校の友達だったり、色々な人が私のことを紹介してくれて、本当にうれしいです。
彼女はRanchel。
彼女はインド系アメリカ人。もともとあったバリアージュの残りの部分をダークブラウンにしてほしいということでカラーをしました。バリアージュのかんじはすごく素敵だったのですが、冬のお洋服に合わせていきたいというオシャレな彼女の意見で、毛先のほうを中間につながるかんじでダークブラウンアッシュにしました。
こういったかんじの、レイヤーが少し高めなスタイルがニューヨークでは多く、かっこいいです。
そして、最後日本の時の同期の、お客さまもきてくださいました。彼女はYuikoさん。
ニューヨークから少し離れたところの大学に留学していて、サンクスギビングのお休みを利用してきてくれました。黒染めだったところから、ピンクとパールベージュをラフにミックスさせたブリーチカラーと少しシャープな動きのショートヘアにしました。彼女自身が、オシャレだし、やりたいことがすごく理解できるので、久しぶりに日本の感覚で楽しくやれました(笑)。
彼女は、日本からくる前は重めのショートだったのですが、今回は少し束感のでるスリークなショートにしたいということでした。こちらのショートはあまり重すぎとかは好まれず、毛先にテクスチャーがあるショートが人気です。
まだまだ紹介したい人はたくさんいるのですが、こんなかんじでお仕事しています。
最近は、「友達から、あなたが今までで1番ベストだったって聞いたからきたんだよ」と何人かに言ってもらえるようになり、本当にうれしいです。
カットに集中してあまりまだたくさんは話せないのですが、美容師の原点である、その人の頭の形や顔の形や髪質を理解して、更にオシャレな髪型にしてあげたい。そして、それはお客さまからもらうさまざまなワードから、自分がイメージを膨らませ、ベストカットをするということが、大事だし、大好きなことだなと最近よく思います。
来年は、もっともっと自分のファンをニューヨークでもつくっていけるようにますます頑張っていきたいなと思っています。
- プロフィール
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穂高 律子 (ほたか りつこ)
岩手県出身。都内1店舗を経て、macaroni coastの立ち上げより参加。女性店長としてサロンワークの他、カラーセミナー等の講師、アーティストのPVやアパレルのカタログ等のヘアメイク等も手掛ける。2016年1月に渡米。現在はニューヨークで美容師として活動中。
Instagram: https://www.instagram.com/ritsuko725/
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