「ま、こんなかんじで、あとは任せた!」NYと日本の美容事情 -穂高律子のニューヨーク美容師コラム Vol.4-
2016年の1月からニューヨークで美容師をしている、人気美容師、穂高律子(ほたかりつこ)さん。
国が違えば、文化も違う。当然仕事のスタイルも変わってきます。ニューヨークのサロンってどんな働き方をするのか。人気コラム連載の第四回目は穂高さんの「ニューヨークで働いて感じるギャップ」について綴ってもらいました。
仕事時間のコントロールについて
今回はニューヨークのサロンと日本のサロンで働いて感じた違いやギャップや驚いたことについてです。まずは、働き方が自由なところ。私が働いているサロンは、週2回勤務の人もいれば、週5回の人もいたり、時間も午前中からだったり、昼過ぎからだったり、本当に自分次第で自由に働くことができます。その分、自分の収入にもちろん影響はしてきますが、自分の時間を作れたり、ハードワークしすぎず仕事ができることは、日本との大きな違いだと思います。ミッドタウンなどのサロンだと、朝8時にスタートして、16時くらいには帰っちゃうという話も聞きます。
もちろん日本のようにみんなが同じ時間に出勤、退勤というスタイルをとっている日系のサロンもありますが、せっかくアメリカなので、こういったスタイルで働けることは、1番よかったことだなと思います。そして、働き方を変え、自分の自由な時間を作れたり、オーバーワークしないで働くということが日本とは違う世界観を見ているなと思います。
流行ではなくお客さんひとりひとりに合わせる
お客さんの違いでいうと、もちろんいろいろな国の人がくるので、ありとあらゆることが様々です。
まず大きな違いは、ヘアカタログなどを見て決めることなどはあまりなく(というかヘタカタログそのものがあまりないです)、持ってきたPinterestなどの写真は見せられますが、
「ま、だいたいこんなかんじで、あとは任せた!」という雰囲気です。
日本の時は自分がヘタカタログなどで提案したスタイルを見てくれて、それにしたいというお客さんが指名できてくれるということが多かったので、自分の好きなテイストやイチオシのスタイルを提案できましたが、ニューヨークだと国によって、流行りも好みも違うので、色々聞いた上でそれぞれに合わせたスタイルを切っています。流行りがあまりないので、それを1番に考えるのではなく、たとえ流行ってはなさそうな髪型でも、頭の形とか髪質やライフスタイルに合わせてセットしやすく、その人が満足し、素敵に見えるスタイルに切ります。
余談ですが、「私今日はTrim(整えるだけ)でいいの」といいながら、「じゃあ何インチくらい?」と聞くと、「うーん、2~3インチ(5~7cmくらい)は切っちゃって」と言う人は多いです。 日本人のTrimとはケタが違うのもニューヨークあるあるです(笑)。
仕上げについて
そして、ニューヨークの人は、スタイリング剤を使って、きちんとスタイリングをするという人はほとんどいません。 男の人でpasteやpomade をつけるという人はいますが、女性はオイルすら使わないということがほとんど。だからこそ、簡単にスタイリングできる髪にしてほしいと言われます。
あとは、シャンプーをしないで切ってほしい人や、そのまま乾かさないで濡れたままで帰りたい人もいたりします。日本でアシスタントの時に、乾いてない部分があると、スタイリストによく怒られたものなのに、やはり国によって価値観は違うなぁと思いました。そんなところが好きです。
ムースなどをつけたり、こだわってスタイリングすることは、日本の時より減りました。もちろんブローは日本よりちゃんとやりますが、あまりスタイリング剤に頼ってどうとかは、好まれない気がします。だからこそ、その背景を理解して踏まえた上で、カットもパーマも計算しなくてはいけません。