ワンランク上のおもてなしに必要なこととは? 伝説のドアマンへ質問!
Q.難しそうなお客さまへの対処方法は?
吉川さんAnswer
こんな言い方は違うかもしれませんが、私はクレーム大歓迎です。お客さまはホテルの足りないところを指摘くださっている、それはホテルの成長のためのアドバイスである、という考えからです。
頂いた内容を真摯に受け止め行動すればお客さまは理解して下さいますし、
その後、ニューオータニのファンになってくれたお客さまも数多くいらっしゃいます。クレームを嫌だと思わずにアドバイスだと思って耳を傾けるといいかもしれませんね。
市木さんAnswer
私はクレームにならないようにとにかくカウンセリングをします。
新規の方は何をきっかけに足を運んでくださったのかをまず確認して、私が作ったスタイルなのか、お店に興味があるのかをお伺いします。そこでヘアの方向性が決まります。
またお客さまによっては自分のやりたいスタイルを伝えるのが苦手な人もいて、なんとなく曖昧にしたまま、施術がスタートしてしまいますが、美容師は「髪のお医者さん」だと思っています。実現が難しそうな時はできないときっぱり断ることも必要なスキルの一つです。対処というより、満足して帰っていただくことを念頭に置くことが大切だと考えます。
お互いの職業で気になることを質問!
市木さんから吉川さんへ質問
Q.私は顔と名前が覚えるのが得意ではないのですが、3,000人ものお客さまのお名前と顔はどのように覚えていったんですか?
吉川さんAnswer
顔と名前を覚えることをはじめた時は、インターネットがなかったので、企業のトップの方などは新聞から顔写真を切り抜き、手帳に貼ってコツコツ覚えていきました。
もちろん、それだけでは完璧とはいきませんので、例えばその方が出席なさるご宴席の情報を事前に調べ、その方の役職、企業情報や宴席内容などの予習も行いました。。月並みですが、空いた時間の予習復習の積み重ねですね。
吉川さんから市木さんへ
Q.お客さまへのサービスはチーム一丸となって取り組むことが必要だと思いますが、私は後輩には「(吉川さんのサービスを見て)盗んでほしい」と思っています。市木さんは後輩への指導はどのようにされているんですか?
市木さん Answer
店長という立場でスタッフを見ていて、気になる振る舞いをしている子がいたら、一対一ではなく他のスタッフも誘ってミーティングをします。そこで主観は入らないように、客観的な意見をその子に伝えます。
そこから意見交換に発展したりすると、自分の中の課題が見えてきたりするので、一対一で意見を伝えるよりも気づきが多いと思うので、なるべく複数での会話を心がけています。
Q.では最後に今後の目標や夢は?
吉川さんAnswer
自分の仕事に対して自信を持ち、謙虚さを大事にしてきたことで、お客さまは信頼してくださると考え、努めてきました。
これからも継続することが大事だと思っています。社会の動向をマークして先読みしていくことを念頭に置いて、変わらずにお客さまをお迎えしたいと思います。
市木さん Answer
2016年6月から店長という肩書きを頂いて、理想の店長とは。ということをよく考えています。今は自分の仕事に誇りを持って、一生懸命でありたいと思います。その姿を見て、(市木さんに)会いたい、お話しをしたいと思って頂ける美容師になりたいです。
〈まとめ〉
立場やお仕事内容が違う二人でしたが、共通点は「予習復習を欠かさない」ことでした。
吉川さんは手帳を見返す他にも新聞を毎日欠かさずチェックし、日々移り変わる社会情勢にもアンテナを張り、人事の交代があればすかさず手帳を更新。
市木さんもお客さまが再来店される前にはカルテやメールを見返したり、カルテにその日の会話を記録して、お客さまを迎える準備をしていました。
基本的なことだけど、後回しにしてしまいがちなことを大切にしている二人を見習って、接客について今一度考えてみてはいかがでしょうか。
- プロフィール
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吉川和宏
ホテルニューオータニ ドアサービス 副支配人
1974年生まれ。東京都出身。1994年にホテルニューオータニへ入社。さまざまな部署を経て1997年にドアサービスに配属。ドアサービス配属後、約3,000人のお客さまの顔と名前をはじめ、車種、ナンバーを記憶し、たくさんのお客さまから厚い信頼を得ている。
- プロフィール
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FLOWERS 店長
市木ありさ
1989年生まれ。テキサス州出身。2016年6月からFLOWERSの店長に就任。特にボブスタイルに定評がある。明るい性格と親しみやすさで老若男女問わず幅広い層のお客様から支持を得ている。
(取材・文・撮影/高橋 優璃)
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