Violet前原穂高先生に聞く！ 【1限目】新米美容師に伝えたい5つの心得
３. メモを読む
人はなぜメモをするのか。それはやっぱり人間ってすぐに忘れちゃうからですよね。ただ忘れるだけならまだしも、反省すべきことなのに脳が自分の都合のいい解釈をしてしまうこともあります。
たとえば、「仕事をしすぎ」とか「酒癖が悪い」などの理由で彼女に振られてしまったとするじゃないですか。本人も自分が悪かったと反省しているんだけれど、しばらくして男友達から別れの理由を聞かれたときに、「あいつは全然、仕事に対する理解がなくてさー」みたいに答えたりする。それが続くと、脳が勘違いして「別れたのは相手のせい」って片づけてしまう。仕事でも同じことが言えます。カリキュラムに受からなかったのは、先輩のアドバイスを忘れてしまったせいなのに「チェックが厳しすぎる」って言い訳してたら進歩がないですよね。でも、脳は嘘をつくけれど、メモは嘘をつきません。書いたときのままですから。
ちなみに、自分で気づいた課題をメモして、ときどきそれを読みながら考えるクセをつけると成長につながるのはもちろん、気づく力や考える力が身につきます。よく前のサロンの会議でもいろんな議題があがっていましたが、どんな議題に対してでも、「僕はそれについて考えたことがあるんですけれど…」って自分の意見を言うことができた。「お前は何でも考えているなぁ」って思わせるいいチャンスになるのでぜひ真似してみて！
4.先輩に好かれる
美容師1年目の成長のカギを握っているのは、あなたの先輩です。だから、先輩に好かれたほうが絶対にいいです。そのために僕がしたのは、先輩の趣味に付き合うこと。たとえば、買い物について行って、率先して荷物を持ったりとか。今の時代だと「公私混同だ」みたいに批判する人もいるかもしれないけれど、僕としては尊敬する先輩と一緒にいたいという気持ちからやっていたことです。あと、僕はわりと苦手な先輩にもどんどん近づいていくタイプでした。共通の話題を見つけるっていうのはコミュニケーションの基礎の基礎。それは先輩が相手でも通じます。ぜひ心がけてほしいです。
5.街に出る
毎週休みの日は必ず街に出ていました。家にいてダラダラ過ごしたことはほとんどなかったと思います。その当時は、モデルハントもしていたので、撮影用のモデルさんを探して、街に出て人を見ていました。ヘアサロンって、言ってみればハコの中なので、ずっとこもっていると視野が狭くなってしまいます。それに、人気店にいるとお客さまが勝手にくるものだと勘違いしてしまうんですよね。だから、外に出て時間の流れや、人の流れを感じることが大事なんだと思います。とくに専門学校時代から、みんな周りは美容師や美容師を目指している人ばかりじゃないですか。その上、サロンから出なかったらどんどん世界が狭くなってしまうので、自分をサロンの外で解放する時間をつくってほしいです。
スタイリストになってからも、意識して街に出たほうがいいです。デビュー直後は、「こんなに街に人がいっぱいいるのに、なんで俺のところには1日3人しかお客さまがこないんだろう…この人たちがちょっときてくれるだけでいいのに」ってよく思っていましたね。こんな風に外に出ることで感じることはいっぱいあるはずなので、ぜひ意識してほしいですね。
1限目のおさらい
・美容師1年目の人も、そうでない人もあらためて周りの人たちに感謝してください。その感謝の気持ちはきっとあなたの力になります。
・メモを書くことと読むことはすべての美容師さんにお勧めです。これを習慣化することで成長速度が上がるし、「気づける人」になれます。
・先輩に好かれて損はありません。まずは自分から好意を持つことが大事。そして、共通の話題を見つけましょう。
・街で過ごす時間を大切にしよう。サロンの中にこもっていると自分の住む世界がどんどん狭くなってしまいます。外に出て、時間と人の流れを感じましょう。
- プロフィール
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Violet
代表／前原 穂高（まえばら ほだか）
美容室AFLOATの元幹部、デザイニングディレクターを経て2015春に独立。東京／表参道に「Violet」をopenし、 2016年秋、名古屋／栄に2店舗目を構える。雑誌撮影・CMヘアメイクも数多く手掛け、モデル、歌手、タレント、俳優女優から支持を受ける。サロンワークにとどまらず海外・国内ヘアショーや商品開発のほか、24歳から開始したセミナー講師活動は通算500本超える。「2012SMAJコンテスト」グランプリ受賞。DesignCut2016では美容師一般誌雑誌登場回数日本一（116回）を記録。昨年末個人月間最高売上1500万を達成し業界内外注目の美容室経営者。
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（取材・文／外山 武史 撮影／菊池 麻美）
