『貪欲なインプットなしに、心を動かす作品は生まれない』 柏 昌弘のメッセージ性とリアリズムを兼ね備えたクリエイティブの作法

「食わず嫌い」と「縁」が自分の世界を広げた

 

50s、60sの雰囲気を再現。カルチャー色の強い作品に。

 

―世の中に胸を張って送り出せる作品をつくるためには、どんな努力が必要だと思いますか。

 

努力をしているという感覚とは少し違うんですが、自分が美容師として売れはじめたころはまだInstagramも広まっていなかったし、自分らしいイメージを発信することは難しかったんですよね。今は打ち出しを絞るのが主流だと思いますが、幅広くいろいろなお客さまを担当していました。お客さまを満足させたいから、ありとあらゆるジャンルの情報に触れてインプットしていたんですよ。前社のbloc japonは、スタイリストが一人ひとり個性的で、バラバラなんです。モードが得意なスタイリストも、ギャル系が得意なスタイリストも、メンズが得意なスタイリストもいます。だからこそ、さまざまな情報に触れやすかったことも自分にとってはプラスでした。

 

引用元:Numero TOKYO。ゆりやんさんのBefore After企画にて。

 

20代の後半くらいからは、雑誌をきっかけに指名をいただき、自分の得意なスタイルが認知されはじめました。きっかけはファッション誌『NYLON』の仕事。お客さんだったモデルさんが『NYLON』で仕事をするようになり、そのモデルさんの紹介で編集長さんが髪を切りにきてくれるようなったんですよね。編集長さんは最初、身分を隠していましたけれど、やがて仕事で呼んでいただけるようになりました。それをきっかけにファッションページをさせてもらうことも増えて、世界が広がっていったんです。

 

この先求められるのは、パーソナリティを引き出す美容師

 

 

―最後の質問です。柏さんにとって「美容師の仕事」とは?

 

人に寄り添い、人のために自分が存在できる素敵な仕事だと思います。新型コロナウィルスの影響で働き方が変わっていますが、美容師が「人ありき」の仕事であることに変わりはないはずです。お客さまに寄り添い、自分の存在意義を感じながら、仕事に打ち込んでいきたいと思います。これからもお客さまにとって替えが効かない存在でありたいし、世の中に対しても自分にしかできない発信をしていきたいですね。

 

 

今はダイバーシティやジェンダーレスなど、パーソナリティが尊重される時代だと思います。僕もお客さま一人ひとりのパーソナリティを引き出せるような美容師になりたいですし、それができる美容師はこれから活躍する場が増えていくのではないでしょうか。

 

また、個人的には2020年9月に独立するので、自分の世界観をより広めていく仕事をしたいです。打ち出しを考えるのもそうですし、ディーラーさんとセミナーを企画したり、プロダクト開発をしたり、ヘアショーをしたりと幅広い活動を通じて、美容師の楽しさを発信して行けたらいいですね。

 

 

プロフィール
HML U/2A
柏 昌弘 

今年9月より独立し、新しくサロン立ち上げ予定。サロンワークを中心に、国内から海外まで雑誌、広告、アパレル、アーティストのヘアメイクもこなすマルチなサロンワーカー。普遍的なものや一瞬のトレンド・流行りが数多くある中で、『その人らしさ(個性)』を一番に考える。昨年は上海コレクションにもヘアスタイリストとして参加。活躍の場を開拓中。

 

(文/外山武史)

 

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