『貪欲なインプットなしに、心を動かす作品は生まれない』 柏 昌弘のメッセージ性とリアリズムを兼ね備えたクリエイティブの作法
圧倒的な技術力と磨き抜かれたセンスを持つクリエイティブ美容師さんは、どのようなことを大切にして、唯一無二の輝きを放っているのでしょうか? 本企画『クリエイティブ美容師のヒットスタイル前線』では、美容師さんから一目置かれるアーティスティックなスタイリストにご登場いただき、自身の中で最も成長を感じ、世間からも反響のあったスタイルをご紹介いただきます。
第二回目のゲストは、柏 昌弘(かしわまさひろ)さん。2020年9月の独立を控え、これから新しいクリエイティブを発信するというタイミングでお話を伺う機会をいただきました。
ファッション性が高く、アパレル業界からの信頼も厚い、しかも本質的なヘアデザインはいかにして育まれているのでしょうか。徹底したインプットからはじまる柏さんのクリエイティブの作法をご覧ください。では早速どうぞ。
ファッション誌、写真集、カルチャー誌にはかたっぱしから目を通す
―早速ですが、柏さんが作品づくりで大切にしていることは?
大事にしているのは世界観、ファッション感、コンセプトですね。軸をしっかり決めて、高いレベルで表現していきたいと思っています。そのためにも、良質なインプットをたくさんして、常に自分の中にアイディアがある状態にしておきたいんですよ。
ジャンル問わず、ファッション誌や写真集、カルチャー誌などは片っ端から目を通しています。テーマ性のある写真家の作品も好きで、ファッションデザイナーRafshimonsとフォトグラファーのDavid sims、世界的ヘアアーティストのGuido palauが制作した1999年に出された写真集が自分の中での「リアリズム」の価値観の源流です。
ー膨大なインプットが、アウトプットにつながっているのですね。
美容師としてはファッション感、テイスト感がある打ち出しをしています。奇抜なデザインではなく、お客さまにも支持されるものでありたい。街やファッションに馴染むリアルなクリエイティブ。「なんかかっこいいね」と共感してもらえるものをつくりたいと思っています。
ヘアメイクでは、モード系から、カジュアル系、ギャル系など幅広いブランドの広告づくりに携わってきました。もちろんクライアントありきの仕事ですから、クライアントの要望を第一に考えてやります。だけど、それだけじゃなく期待を超えるものをつくるために徹底的にブラッシュアップしますし、自分のエゴにならない範囲で共感してもらえそうなアイディアを盛り込むこともあるんですよ。
>「ロックっぽい」ではなく「90年代のグランジ」 イメージに具体性を持たせる