痛んだ髪に施術して、誰が幸せになれるんですか?
価値ある技術を安売りする必要がどこにある?
―美しい髪が確実に手に入るのなら、50万円でも高くないと考える方がいるのですね。
僕は、美しい髪をつくるために、包括的なケアをしているんですよ。ホームケアの方法や食事についても細かく指導します。ストレスは美髪の敵ですから、心の持ち方などもアドバイスします。女性は閉経まで7年周期でホルモンバランスが変わるとされており、生理や妊娠が髪に与える影響はとても大きいです。産婦人科医の池川明氏はじめ、医師の協力を仰ぎながら、体の変化に合わせて髪のケアの仕方を調整しています。
そもそも、施術に納得いかない場合は全額無料ですし、商品が合わない場合は返金しています。だから決して高くはないと思いますよ。美容師さんのみならず、日本人は高いお金をもらうことを怖がりすぎているんじゃないですかね。技術と知識に自信があったら何も怖くないです。
僕は京都でサロンを出すとき、ブログでこう宣言したんです。「美容師は医師と同じ国家資格を持っているのに、なぜ簡単に値引きするんですか?安売りしすぎていませんか?」って。そのメッセージに対して最初にコメントをくれたのは医師でした。「俺たちは命をかけて仕事をしている。中卒で免許とれる美容師と一緒にするな」と。僕は「ごもっともです。命を懸けるといったら大げさと思われるかもしれない。だけど、僕はお客さまの髪を心から愛しているし、人生を変えたいと考えています」と返事しました。
このとき思ったんです。絶対に医師も認める「髪の病院」をつくろうと。その願いがかなったのが2014年。京大出身の医学博士に、「髪の病院」の顧問についてもらうことになりました。
飲んでも害がない白髪染め剤を開発
-「髪の病院」のメソッドには、医学的な裏付けもあるのですね。
10年以上研究を重ねて、髪に関する情報を体系化してきました。今も研究を続けながら、「髪の病院」のメソッドを広めるための活動もしています。まさに今、全国に飛び回って、セミナーを開催しているところ。ヘアケアに関心をもつ美容室が増えていて、K-twoさんをはじめとして、日本全国のサロンとお付き合いがあります。セミナーを受講した美容師は7万人。「髪の病院」のメソッドを深く理解し、施術をおこなえる技術認定者も年間数百人ペースで増えています。
-セミナーで学べば、谷村さんのようなゴッドハンドになれるのでしょうか?
ちょっとかじっただけでは無理です。髪だけではなく、食べ物や体の仕組みなど、生活全般にわたる膨大な知識がないとできないですよ。なので、技術認定者も、習熟度に合わせて6段階にランクを分けています。一つ星の認定者が、施術トリートメント1回で3万円とか、そういうレベルです。お客さまをガッカリさせることは許されませんから、生半可な技術者を出したくないと考えています。
あとは、美容室で使っている商品も、全面的に見直していかないとダメだと思います。今、世の中に流通している商品は全て安全だと思いますか? 無害を証明するために飲むことはできますか?
「髪の病院」では、飲んでも害がない安全な商品を開発しています。もし、2分で染まる白髪染めがあったら? しかも、飲んでも大丈夫だったら? 美容師は商品に自信が持てるはず。まだ開発段階ですが、ノーベル賞も狙える、と本気で思うくらい、商品開発に力を入れています。