あなたはどっち? 「寄り添い型」と「引っ張り型」 20代〜30代のリーダー論 GARDEN 河野悌己さん×久分祐太郎さん
役割分担をしながらサロン全体を引っ張る
—河野さんの大人数を引っ張る教育法-
—久分さんはサロンのリーダーとしての教育を勉強中とおっしゃっていましたが、チームとサロン全体では勝手が異なるのですか?
久分:やはり人数が違うので、チームの後輩たちにしている接し方を全員にはできないというのがあります。僕の手元にいない子たちが悩んでいたり、辞めそうになっていたりするのを食い止められないんですよね。そこをどうしたらいいのかと……。
河野:1人で見られる人数は限られているので、同じ教え方ができる人間を増やすというのがひとつの方法だと思います。もしくは今やっている「目標を起点として成長させるというやり方」を、サロン全体に広げる方法。みんなの共通項となる大きな目標を掲げて、引っ張っていくというやり方もあると思います。
—サロン全体だとキャリアの差もあるので、共通の目標を立てるのも難しそうです。
河野:確かにまとめるのは本当に難しいです。特にうちの場合は、久分よりも上の世代のスタッフも多いので、本当に大変。だから今は3つの層に分けて考えるようにしているよね。それぞれの層で共通の目標や役割をつくることで、一気にその層の全員を引き上げることをねらっています。
—久分さんと同じ教え方をできる人を育てるには、どうしたら?
河野:彼のやり方で教えてきた子たちを、教えられる人に成長させるのが近道ですよね。そのためにもアシスタント教育について、初期と後期で育て方を切り替えたほうがよいと思っています。彼の細やかな教育でスタイリストデビューまで面倒を見てしまうと、たぶん不安になったら久分に意見を伺ってしまって、自分から教えられる人には育たない。ある程度仕上がったら、次は自分で考えられる力をつけさせていくといいと思います。
—河野さんはさらに大きい規模で、人を引っ張るという役割を担っているんですよね。どんな方法でそれを可能にしているんですか?
河野:どんなに大きくても、大切なのはコミュニケーションです。ともに悩んだり喜んだり、話し合ったり、そういう場をつくることを大切にしています。久分がやっていることと同じように、やっぱり時間はかかりますよ。でもそれをはしょると、結局人はついてこないんですよね。最近、特にそれを感じています。あとは上にタイプが違う人間がいるのも大事です。
—役割分担をして教育を担うということですか?
河野:同じタイプだけだと、単一のことしか受け入れられなくなってしまいます。違うタイプの人がいれば、いろいろなタイプのスタッフを育てられるし、教える側も楽になると思います。今、GARDEN Tokyoでは久分とは違う役割を、僕がやっている状態。それを他のスタイリストと手分けできるようになると、もっとリーダーの仕事がやりやすくなるかもしれないですね。同じ方法で教育をできる人を育てながら、自分とは違う役割を担ってくれるパートナーを見つけていく。これからリーダーになる人たちは、1人で全部をやるだけでなく、そういう方法もあると思います。
GARDEN
ジェネラルプロデューサー/河野 悌己(こうのよしき) (写真左)
都内店舗を経て、200坪の大型ヘアサロン「GARDEN」のオープニングに参加。2008年銀座へ自身のプロデュースサロン「drive for garden」を出店。2012年「GARDEN Tokyo」をGARDEN旗艦店として展開。2014年自らがプロデユースしてNew Yorkへ出店。美容の枠にとらわれない発想で、常に美しく先端のスタイルを提案し続け、多くのお客さまから絶大な支持を頂く。NYと日本でのサロンワークをベースに、グループ全体牽引し、ヘアショー、撮影、サロンプロデュースなど多岐にわたり活躍する。
GARDEN Tokyo (写真右)
代表・カラーディレクター/久分 祐太郎(ひさわけ ゆうたろう)
都内店舗を経て、200坪の大型ヘアサロン「GARDEN」のオープニングに参加。GARDENの旗艦店となる「GARDEN Tokyo」のトップとしてサロンを牽引しながら、GARDEN唯一のカラーリストとして、グループ全体の技術向上に取り組む。技術とトレンドの研究を欠かさず、カラーのスペシャリストとしてカラー剤の開発にも携わる。国内だけにとどまらず海外でもカラー講師として活躍。ヘアデザインを最大限に生かすカラー提案や技術は、お客さまはもちろん、芸能人やモデルなどから絶大な支持を集めている。
(取材・文 福田真木子 写真/河合信幸)
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