僕が美容師さんから学んだこと。gricoエザキヨシタカさんのサロン遍歴に迫る!
お客さまの立場に立ったら嫌だと分かることを、どうしてするんだろう?
-誰かにカットしてもらって感動したことはありますか?
うーん、僕は髪を切ってもらって感動したっていう経験がないんですよ。
もともと自分の顔が嫌いだから、できれば鏡も見たくないし、髪に触りたくない。今朝も、髪を濡らして、馬油つけて終わりって感じで。だから、日中、スタイリングをし直さなくてもいいように、ちゃんとカットして欲しいんですよね。でも、たいがいの美容師さんは切りすぎちゃうんです。「あ、ここでやめておけばいいのにな』っていうポイントを過ぎてから、ようやく終わるっていう。そこは自分が美容師になって気をつけようと思ったポイントでもありますね。ただ、TOMOMIや原田直美を始め、スタッフがすごく成長してきたので、人生で初めて、安心して任せられるようにはなってきたなぁと思っています。
今、僕は、1日4〜5人の美容師さんをカットしているんですよ。北海道から、福岡から、日本全国からやってきます。多いときだと、1日で9人とか。美容室のオーナーさんもだし、1年目の子もきてくれます。カットとカラーで19000円くらい+飛行機代ってなったら、1年目の子なんて、それだけでお給料の半分くらい飛んじゃいますよね。僕がいないときにどうしても切ってほしいってなった時に、スタッフが僕の代わりにカットできるような実力はつけてきたなと実感しています。
-客としてサロンに行った経験から学んだことが生きていると思ったことはありますか?
待ち時間でもお客さまのそばを離れないとか、顔に髪がついていたら素早く取るとか、そんな些細なことができない美容師が多いと思いますね。自分が客の立場だったことを思い出せばわかることなのに、どうして美容師になったらやらないのかな? と思うんですよね。客として嫌だったことはやらないようには徹底しています。
あと、前髪を切るときには必ず、一言そえること。僕は、この長さがジャストだなと思っていても、「ちょっと長めに切りますね』と言ってから、切り始めるようにしています。前髪って一番、顔に関係する部分なのに、黙って切り始める美容師が多いですよね? 一言そえるだけで恐怖心って全然変わってくると思うのに、なんでやらないんだろうって思います。お客さま目線じゃないなって。それに最初から長めに切るって言っておけば、お客さまとの信頼関係は保てると思います。
-逆に、この経験をしておいてよかったということはありますか?
僕は女性美容師に切ってもらうことが多かったんですが、なぜか、すごく大柄な人とかパンチの効いた女性を選んじゃうんですよね。そういう方って男気があって、バスッと切ってくれるんですよね。話をしていても楽しいし。そういう美容師をなにげなく選んでいた経験から、「自分の色を持つ」ということが大事なんだなと気づいたし、スタッフにも徹底して話をしています。そこは美容室に通っていたからこそ感じられたことだと思います。