【上手くなりたいなら実験だ!】薬剤ともっと仲よくなるアイデア(前編) —読むレッスン
パーマやヘアカラーといったケミカル施術って、けっこう勇気がいりますよね。一度ダメージさせてしまった髪は元には戻せないから、安易に「できます」なんて言えないし…。でも、本当はもう少し踏み込んだ施術を提案したり、お客さまからのちょっと難しいオーダーに自信を持って「できます!」と言いたくはないですか?
そのために必要なのは、髪と薬剤についての理解を深めるまでの“経験”。マニュアルから一歩踏み込んで、薬剤や髪に向き合ってみると、今よりさらに薬剤を使いこなせるようになるはずです。今回の「読むレッスン」では、そんな経験を深める実験アイデアを、DADA CuBiCのスタイリスト西戸裕二(にしどゆうじ)さんと、カラーリスト尾上麻衣子(おのうえまいこ)さんに教えてもらいます。
ヘアカラー編:実験アイデア1
同じ系統の色を染め比べて、メーカーごとの特徴を知る
【実験方法】
さまざまなメーカーのヘアカラー剤を取り寄せ、同系統の色を同じ条件で染め比べる実験。15レベルと10レベルの毛束を、すべて8レベルでカラーリングする。写真はブルー系を染め比べたもので、それぞれ毛束の左側が15レベル、右側が10レベルの毛束。
【何がわかるの?】
「15レベルの毛束を染めたほうでは、それぞれの薬剤の発色や色の特徴を見比べられます。またハイトーンにすると出てくる、アンダートーンの黄みをどれくらいカバーできるかも確認できますね。10レベルの毛束を染めたほうでは、オレンジみをどれくらい補正ができるのかをチェックできます。同じ系統のカラー剤でも、見比べると発色もその他の特徴も異なるのがとてもよくわかります。ヘアカラー剤は1色からでも仕入れることができるので、お客さまのニーズに合う色を見つけるためにも実験するといいと思います」(尾上さん)
ヘアカラー編:実験アイデア2
お客さまの髪を使った実験!
「濃い・薄い・濁った・鮮やかな」色を使い分けられるようになる
【実験方法】
サロンワークでカットした、お客さまの毛髪を使った実験。根元から毛先に向かってムラになるようにトーンアップさせ、ベースをつくる。毛束を4つに分け、同系色、同レベルの「濃い色」、「薄い色」、「濁った色」、「鮮やかな色」をワンメイクで被せる。写真は赤系のヘアカラー剤の見比べたもの。一番左がベースとしたムラのある毛束。
【何がわかるの?】
「それぞれ、アンダートーンをどれだけ馴染ませる力があるかを確認できる実験です。これがわかると色によって効率のよいプロセスを選択できるようになります。例えば、褪色してムラになった状態を解消したい場合、濁り系のヘアカラーを選択すれば、細かく塗り分けをしなくても大丈夫…というように。逆に前回のグラデーションカラーを活かしたいときに、濁った色を入れてしまって、グラデーションを消してしまうというような失敗も防げると思います。
カットしたお客さまの髪を使わせてもらうというのも、ポイントです。やはり一度リフトアップして染め直した毛束と、実際の人間の髪は異なるので。お客さまの髪を使わせていただくことで、リアリティのある実験ができます。DADA CuBiCではきれいな髪だけではなく、赤みが強い髪やダメージが強い髪、またお子さんの髪の毛など、特徴のある髪の毛をお客さまにお願いしてストックさせていただくようにしています」(尾上さん)
ヘアカラー編:実験アドバイス
単色の「色の特徴」を知れば、色をつくるのも上手になる!
「最近はブリーチカラーなど、カラーリングした色がダイレクトに出てくるデザインも増えています。そういったカラーは特にごまかしがきかないので、色の特徴を把握していないと失敗してしまいがちです。また単色の「色の特徴」を知っていなければ、混ぜたときに思いどおりの色は出せません。だからまずは、普段使うヘアカラー剤の、単色のときの特徴を知ることが大切。メーカーさんから毛束見本をもらえることもありますが、実際に自分で試すと、メリットとデメリットの両方が見えてくるので、実験してみるのはおすすめです」(尾上さん)
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