10万円の縮毛矯正で注目される悩める女性の駆け込み寺 -銀座ROYS-
お客さまの髪質にあわせて貴重な薬剤を調剤し、艶ストレートヘアをデザインする縮毛矯正「KIWAMI」。10万円という料金設定にも関わらず、全国各地から悩める女性が銀座ROYSにやってきます。今回はROYSのオーナーの佐伯龍(さいきりょう)さんに、独立までのキャリアステップや、「KIWAMI」の価格設定の裏にある考え方などを、包み隠さず話していただきました。
理容師を辞めて原宿に住み、有名店を受けまくる
もともと僕は大阪で2年ほど理容師として働いていました。当時は美容師ブームの火付け役になった『シザーズリーグ』(フジテレビ系)が話題になっており、「同じ髪を切る仕事なのになぜこんなに違うのだろう」と感じていたんですよね。いてもたってもいられなくなり、これといったアテもないのに上京。原宿に住んで、ACQUAをはじめとするカリスマ美容師がいるサロンを受けました。結果は、全滅でした。
転職活動はうまくいきませんでしたが、落ち込んでいる暇はありません。ハリウッド美容専門学校の通信課程で国家免許をとり、次の展開を考えているときに、知り合いの人が見かねて「そろそろ美容やりたいでしょ。厳しいところでもいい?」と原宿にあるサロンを紹介してくれたんです。
ようやく手にした美容の仕事ですから、僕はそれこそ水を得た魚のように働きました。勤めていたサロンは、東京・千葉・茨城に店舗が合計5つあり、僕は25歳から柏店の店長をまかされることに。お客さまにも恵まれ、店舗の売上は上々。僕自身もスタイリストとして月300万円くらいの数字をコンスタントに出していました。
パリコレやミラノコレクションのヘアメイクを経験したり、『テレビチャンピオン』(テレビ東京系)にチームで出場させていただいたりもしました。とにかくがむしゃらに働いて、やれることは全部やってきたような気がします。
毎日が充実していたので、サロンを辞める気は全くありませんでした。ところが東日本大震災をきっかけに考え方が変わったんです。震災直後、僕が住んでいた街には、放射能汚染の可能性がある「ホットスポット」がありました。最善を尽くすために、妻と子どもを自分の実家の愛媛に避難させることに。家族のために力を注ぎたいという想いが強くなり、時間や収入の余裕をつくるために独立に踏み切ったのです。
10万円の縮毛矯正「KIWAMI」が生まれた背景
銀座に出店した理由は、世界から見てブランド力のあるエリアだからです。前職のお客さまには、独立のご案内をしませんでした。お世話になったサロンに筋を通したかったのです。
銀座には何の縁もなく、知名度もゼロで、後ろ盾もないところからのスタート。作業ではなくデザインを売るという美容の本質を突く内容で、なおかつ人の目に留まることをしたいと思いました。それで考えたのが10万円の縮毛矯正「KIWAMI」です。海外で仕事をしたときに「日本の縮毛矯正は世界最高だ」とよく言われていました。でも僕は「日本の縮毛矯正は、もっと上を目指せる」と思っていたんです。
縮毛矯正は技術と薬剤の知識に加えて、熱のバランスも重要。工程が多く難しい分、違いを出しやすいと思っていたんです。それで「日本一の縮毛矯正はいくらだろう?」と思って調べたら15万円でした。それなら僕はわかりやすく10万円にしようと考えたんです。今思うと、もう少し料金をあげてもよかったかもしれません。というのも全国からお客さまがきてくださっているからです。
「10万円」と聞くと、ほとんどの美容師さんが高いと感じると思います。でもそれは、「作業を売る」という考え方にとらわれているから。たとえば、画家は画材ではなく絵を売りますよね。僕も同じで、材料や作業を売るのではなく、「KIWAMI」というデザインを売っています。お客さまも、髪に投資して、悩みを解決して、気分がアガるなら、10万円でも高いとは思わないんですよ。
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