ヘアサロン業界のいぶし銀? カキモトアームズ・トップヘアカラーリストのお仕事に迫る
カットやパーマ、カラーの施術は1人の美容師が担当するのが当たり前だった時代、いち早く「カラーリスト」制度を導入したのが、人気サロン「カキモトアームズ」でした。
なぜカットやパーマとカラーを分業する必要があったのか? そして、その効果は?
雑誌や業界誌などで活躍中のカキモトアームズ青山店・カラーリスト、篠田佳奈さんに、カラーリストのお仕事について教えていただきました。
ヘアカラーが女性の地位向上の一端を担う時代がやってくる
-「カキモトアームズ」がカラーリストの制度を導入したのはいつ頃ですか?
「約21年前、1994年だと聞いています。ヘアサロンの数がどんどん増えてきていて、代表の柿本榮三がどうやったらほかのサロンとの差別化ができるかを考えていたときに、世界的なヘアカラーリスト、ダニエル・ギャルビン氏(※世界中のセレブ、故ダイアナ妃も担当)に会ったのをきっかけにカラーリスト制度を導入したのだそうです。実は、柿本はその前に何度かダニエル・ギャルビン氏に会っているのです。以前には何も感じなかったのですが、ちょうどなにか新しいことをしたいと探していた時期だったので『カラーしかない!』と思ったみたいです。
その頃はまだ、カラーリングをするのはファッションに敏感な人というよりもマイナスなイメージが強かった時代。でも柿本は、『これから世界で活躍する日本女性の地位向上の一端をヘアカラーが担う日が必ずやってくる』と確信して、そのためにはもっと薬剤のことをよく知っていて、色のことに詳しいカラーリストが絶対に必要だと考えたのです」
-実際に、そのとおりになりましたね。
「本当にそうなんです。今は女性だって世界で活躍する時代です。この間、韓国に行ってきたのですが、今の韓国はまさにその頃の日本といった感じ。これからヘアカラーがどんどん盛んになっていく気がします」
-「カキモトアームズ」では、入社のときから、スタイリスト、カラーリストと決まっているのでしょうか?
「入社してすぐは、みんな同じように研修します。入社2ヶ月後くらいから、スタイリスト、カラーリストに分かれて研修をしていきます」
-カラーリスト独自の研修はありますか?
「カキモトアームズでは、カラーリング時にホイルワークをとても大切にしているので、アシスタント時代は毎日、ホイルワークの研修をしますね。スタイリストの研修はサロンワークをしながらなのですが、カラーリストはサロンワークを1週間お休みして、ひたすらホイルワークの研修をします。それこそキャンプのように(笑)。そのあと、研修でやったことをそれぞれがスタッフ全員の前でプレゼンするんです。デビューしてからも、カラーリストがお互いに切磋琢磨していけるように、店内バトルや店ごとのバトルなどを行っています」
-篠田さんは最初からカラーリスト志望だったんですか?
「そうですね。私はカキモトアームズに入る前、メイクの仕事に就きたかったんです。色を見ているのが楽しいなと思って。より仕事の幅を広げるために美容師になろうと思ったのですが、学校の授業でカラーリストの存在を知り、カラーリストになりたいなと思うようになりました」