【シャウルデッサン東京進出】CEO黒木利光さんがQJ初登場！イノベーションは情熱的デザイン思考がマスト。今の想いをリアルに語ります
より価値のある時間を提供したくて、施術の間にワインと食事をサーブ
東京に出店するつもりはなかったんですが、サロンのブランド名を使ってお店を出したいという嬉しいお声がけをいただいたんですね。それで進めていたんですけど、途中で「おや？」と思って。スタッフ教育も含め、人に任せたら『シャウルデッサン』にならないし、ビジョンも違うなと気づいたんです。人生かけてスタッフも参加してくれるのに、僕がいないのはどうなの？ と。それで丁重にお断りして、自ら出店することにしました。
今は大阪と東京を行ったり来たりしながら、約10日ずつサロンワークをしています。東京ではここで夜間セミナーを開催していて、それをスタッフに見せています。外部の美容師さんと同じように、一緒に練習してもらっているんですよ。妻も骨格矯正スパを教えているので、毎回二人で東京に来てスタッフを教育しています。「黒木さんはいつ休んでるの？」とよく聞かれますけど、休みは昔も今もないですよ（笑）。でも、ストレスが溜まらないので、仕事が好きなんでしょうね。
今年3月に、大阪のレギュラーサロンの前に『LaMaisonKUROKIduo』というプライベートサロンを作ったんです。そこに来てくれるお客さまは長いお付き合いの方たちばかりなので、より価値のある時間を提供したくて食事をサーブしています。シェフのお客さまに、オリジナルメニューを作っていただいたんですよ。言い方は悪いですが、「自分勝手なサロンを作りたい」という想いがあって。僕は釣りとワインが大好きなので、おすすめの高級ワインや釣ってきた自慢の魚も登場します（笑）。肉と魚を選んでいただくメニューですが、今はリゾットも開発中で、いずれフルコースを出そうかなと思っていて。もちろん全て無料でお出ししています。東京でも僕は2階のスペースだけで施術するので、食事のサービス付きです。
僕にとって、お客さまは「ファミリー」という感じなんです。ご縁があって出会っているから、大切にしたい。美味しいものをお客さまと共有できるのも嬉しいし、喜んでいただけるのも嬉しい。「こんなお店にしたい」という理想形にだんだんと近づいてきたな、と感じています。
「世界を美しく変える」を掲げて、お客さまを幸せにしたい
毎年、大阪の児童養護施設に行ってボランティアカットをしているんですけど、そこには小さな子から高校生まで200人くらい住んでいるんです。この状況を作りだしたのは誰？ と考えると、僕ら大人なんですよね。大人がストレスの捌け口を子供に向けているから、こんな現状があるわけです。大人のマインドを変えなくてはいけない。
僕の座右の銘は、「世界を美しく変える」です。映画『ペイ・フォワード』のように、誰かの優しさで幸せな気持ちになったら、それを3人の人に広げていけば世界が変わっていくと思うんですね。それを髪でできるのが、僕ら美容師だと思っていて。
お客さまがハッピーなマインドになるように、「今日は好きなデザインに変えようね」とか、異性に好かれたいと願う子なら、そういうヘアスタイルを作ってあげるとか。ときには洋服のアドバイスもするし、新規のお客さまには「どういう未来にしたいの？」と聞いて、背中を押してあげられるような話もします。世界を変えたいから、それに向かって責任を感じながら仕事していますね。
ハッピーになるためには口に入れる物も大切ですから、お店ではお客さまにこだわりのお茶を出したりもしています。沖縄の恩納村にあるお店で作られているお茶は、伝承医学に基づく数十種類の薬草やフルーツが入っていて、体の中を綺麗にしてくれるんですよ。少しでもお客さまをハッピーなマインドに変えたいから、そのために僕自身も常にいい精神状態で接客できるように心がけています。とはいえ、まだまだ心がそこまで広くないので（笑）、毎回遅刻してくるお客さまには厳しい対応をすることもありますよ。大切にしたいからこそ、なんですけどね。お互いリスペクトし合える関係を育んでいきたいなと思っています。
黒木 利光（くろきとしみつ）／CHARLES DESSIN（シャウルデッサン）CEO
1980年、大阪府生まれ。関西大学を中退後、NRB美容理容専門学校通信科卒業。24 歳で大阪に『シャウルデッサン』をオープンし、2度の経営危機を見事に乗り越え、圧倒的なケアブリーチ技術と酸性ストレートで飛躍を遂げる。月間売上700万、セミナー事業で年6000万をマークする業界屈指の美容師。2021年10月、東京・表参道に出店。業界誌5誌で連載を担当するほか、セミナー活動、オンラインスクールなど幅広く活躍中。著書に「生き抜くTO DO」（髪書房出版）など。
（文／織田みゆき photo／松林真幸）
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