ギリギリすぎて4キロ減? 完璧じゃない自分を認めてくれた言葉 ―macaroni coast綿引海人さんの働く理由
アシスタント2年目にぶち当たった壁。その後、仕事が楽しいと思えた理由とは?
アシスタント時代は、「誰にも負けたくない」という気持ちが強かったので、朝早くから夜遅くまで、練習に次ぐ練習の日々でした。最初に感じた壁は、お客さまとの会話。学生時代にアルバイトで接客をしていたので、トークには自信があったのですが、いざお客さまと対面してみたら、あんまり上手にお話ができなくて…。先輩がお客さまと話すのを聞いて、「こういう切り出し方があるんだ」と学んだり、休みの日には趣味の食べ歩きと仕事のネタ探しを兼ねて話題になっているお店に行ったり。「やれることはやろう」と思い、いろいろとやりました。
一番苦しかったのは、アシスタント2年目のとき。1学年下が全員不合格で、後輩が誰一人入らなかったんです。1年目と同様にシャンプーばかりやることになって、ほかの技術をなかなか実践できず、自分だけ進みが遅くなっているように感じてしまいました。さらに、先輩がスタイリストデビューすることになり、僕がメインのアシスタントになったんです。アシスタントとしても完璧とは言えない中、任される仕事もすごく増えて。上の先輩たちは要領よくこなしていくのに、自分だけが上手くこなせていないように感じて、いっぱいいっぱいになってしまいました。
そのころは4キロくらい急激に痩せて、会う人会う人に「大丈夫?」って心配されました。仕事に対しては厳しく指導してくれる先輩たちが、「これ食って頑張れ!」と、おにぎりや甘いものをくれることも。それほど当時はげっそりしていたんでしょうね(笑)。落ち着いたのは、その後、オーナーである中澤のメインアシスタントになってから。怒られることも多かったんですが、だんだんと認めてもらえるようになり、撮影でも「綿引にきてほしい」と言ってもらえるようになってから、自信がついて仕事がどんどん楽しくなってきました。
型にはまらない“思いやり”が大切。macaroni coastで働きわかったこと
中澤からは「後輩を育てることができて一人前なんだよ」とよく言われていました。教えることは自分自身も学べることが多いんです。僕のような立場だったら後輩のアシスタントを、中澤の立場だったら一人前の美容師を育てること。それぞれの立場で、人を育てることができてこそ、一人前の美容師になれるんだ、と教えてもらいました。
また、接客についてよく言われていたのは、「気づかいは思いやりだ」ということ。「思いやりがあってこそ、お客さまがそのスタイルや接客方法を気に入っているか、気に入っていないかに気づけるんだよ」と。どのサロンでも「気づかいなさい」とはよく言われると思うんですが、そうするとパターン化してしまって、「こうしておけばいいか」になってしまう気がするんです。でも、思いやりの気持ちを持ってお客さまに接していれば、「今はこうしてほしいんだな」、「これは嫌なんだな」と、お客さま一人ひとりの立場に立って、その人の求めているものを感じ取ることができると思うんです。
macaroni coastのいいところは、スタッフ同士、本当に仲がいいことだと思います。飲み会などコミュニケーションを深める場がありますし、後輩でも自分の意見を言いやすい雰囲気があるんです。僕みたいな若手でも雑誌の撮影を任せてもらうこともあって、そういった面でも環境には本当に恵まれていると思います。
>技術も、接客も、人柄も全部憧れる。尊敬する先輩の姿を見て学ぶこととは?