「日本の美容師として生きているなら日本髪を結えた方がいい」FEERIE代表・新井唯夫さん
洋髪に日本髪の要素を取り入れることでデザインの幅が広がる
―美容師が日本髪を学ぶことで、どんなスキルアップが可能でしょうか?
櫛(コーム)や指でウェーブをつけたり、髪の毛を広げたり、丸めたり、浮いたような感じに見せたり。日本髪はいろいろな技術を身につけることができると思います。最近では、くるりんぱとか、編み込みなんかが流行っているんですが、日本髪は、絶対に勉強した人しかできないんですよね。日本髪を作れるようになると、洋髪のアップスタイルもスキルアップできると思います。
今の時代、正統派の日本髪にしたいというお客さまは少ないのですが、和装のときに、日本髪のしっかり整えられた重たさ、ボリューム感みたいなものがヘアスタイルのなかに入っていると、着物に似合うと思います。日本髪の要素を知り技術を取り入れることで、幅広いヘアデザインを創ることができるようになるのです
―サロンワークで生かせることは何でしょうか?
もし日本髪を結うことができれば、お着物のお客さまに普通のアップスタイルだけでなく日本髪も提案できるので、営業できる幅が広がりますよね。また結婚式のヘアスタイルを担当したときに、お客さまの結婚式で日本髪を結ってあげれば、一生のイベントに関われ、思い出の中の人になれる。美容師ってそういう素晴らしい職業なんですよ。ですから、ぜひ、日本髪のスキルを身につけてほしい。
―最後に、リクエストQJナビの読者へメッセージをお願いします。
日本髪を学ぶチャンスは少ないです。もしかしたら、日本髪を結うことがないまま、人生が終わっちゃうかもしれません。せっかく日本人に生まれて日本の美容師免許を持っているのだから、ぜひ日本髪を結うチャンスを自分で作ってもらいたいですね。もしご興味があれば、日本髪の教室も当社スタジオで開催していますので、ぜひ習いに来てください。これって教室の宣伝になっていますよね(笑)?
- プロフィール
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FEERIE
代表/新井 唯夫(あらい ただお)
銀座やベイエリアに7店舗を展開するFEERIEの代表を務めるほか、プロフェッショナル向けの美容ツールの販売やDVD、技術書の出版、ヘアショー、実技講習会など、多岐に渡って活躍。認定アロマテラピーアドバイザーの資格や認定エステティシャンの資格を取得するなど、髪だけでなく、多方面から美にアプローチしている。とくにアップスタイルに関してはほかの追随を許さない圧倒的な技術力で、「セットの神様」と呼ばれる。
(取材・文/池山 章子 撮影/河合 信幸)